9話 ページ10
「大丈夫か豪炎寺､ ダメージは大きいのか? 後を引きそうなのか?」
鬼道は豪炎寺に近づくと心配から具合を問い掛ける｡
豪炎寺は少し苦笑いながらに答えた｡
「おいおい…俺は医者じゃないんだ｡ 怪我の大きさは解らない…」
「一体何があった?」
「見えなかった…あの瞬間､ 何かが光ったんだ｡ 気がついた時には…」
「敵が反則行為でもしたというのか?」
「…解らない」
Aは鬼道と豪炎寺の会話を聞きながら､ ボトルの飲み口に口付けて水を喉に通した｡
豪炎寺の様子を見ると顔を少し歪ませ汗が多かった｡ まだ痛みが続いているようで､ 心配そうな表情を浮かべた｡
「話には聞いていましたが…ここまでの事を仕掛けてくるとは」
「牙を向いてきましたねぇ､ "オリオンの使徒"たちが…」
コーチである久遠道也が趙金雲を見て述べれば､ 目を伏せながら趙金雲は答える｡
すると趙金雲は目を開いて､ 身体を動かしてアップをしている吉良ヒロトへと視線を移した｡
「ヒロトくん､ アップをお願いしますよ」
「あぁ…やっと俺が必要だってことが解ったようだな｡ 何しろ俺は…ゴッドストr」
「A先輩お疲れ様です! タオルをどうぞ!!」
「え? あ…えぇ､ ありがとう一星くん」
ヒロトが何かを言い掛けた時､ 一星がニコッと人懐っこい笑みを浮かべながらふわふわなタオルをAに渡してきた｡
後ろでヒロトが"テメェ遮るんじゃねーよ!!"とキレているが一星は知らんぷり｡ その様子にAは苦笑いを浮かべた｡
「どうだ?」
「今後の試合に､ 支障が無ければいいがな…」
円堂が豪炎寺にそう問い掛けると､ 豪炎寺は円堂を見詰めて答えた｡
豪炎寺の言葉に､ 円堂と聞いていた風丸が険しい表情へと変わった｡
「豪炎寺さん､ よかったら新しいのと変えてください! どうぞ!」
「嗚呼…」
一星はAにタオルを渡した後､ 氷が入った袋を豪炎寺へと差し出す｡
豪炎寺は小さく返事して袋を受け取った｡
「一星くん気が利くでゴス!」
「ふふ､ 凄く良い子」
Aはクスリと笑いながらそう述べると､ 聞いていた一星はえへへ､ と人差し指の指先でぽりぽりと頬を掻いた｡
「あ､ A先輩も大丈夫ですか? シュートをブロックした時に少し飛ばされましたよね?」
「大丈夫よ､ 怪我も何も無いわ｡ 心配ありがとう」
Aが近づいてくる一星の頭を優しく撫でると､ 一星は頬を薄く赤色に染めながらふにゃりと嬉しそうに笑みを浮かべた｡
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作者名：りはる x他1人 | 作成日時：2020年3月20日 16時
