天空の熾天使ｰセラフｰ【オリオンの刻印】 (ページ30)

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29話ページ30

──朝.

《イナズマジャパンのエースストライカー豪炎寺選手が、韓国戦の負傷によりチームを離脱することが発表されました。

『これは痛いですねぇ…絶対的な柱を失ったイナズマジャパンはアジア予選突破が一気に厳しく────』》

「チッ…好き勝手いいやがって」

「灰崎くん」

「あ？」

灰崎はテレビから目を外して隣を見遣るとAが立っており、隣に御盆を置いて椅子に座った。

「練習前にストレス溜めちゃダメよ」

「溜めてねぇよ、バーカ」

「…とか言って、昨日の朝食よりかなり量が少ないけど」

「なっ…」

灰崎はAの発言を耳にして自分のご飯やおかずの量とAの量を見ると、灰崎よりもAの方が量が多かった。

「…そんなんで解るのかよ。」

「えぇ、ストレスを抱えてる人は量が大幅に変わるのよ。」

Aはクスリと小さくと笑いながら"頂きます"と述べて、箸でサラダを掬って口に含むと、灰崎はAを見ながらフッと鼻で笑った。

「…よく見てんだな、アンタ」

「よく言われる。……ずっと京介たちの世話をしてたからかな」

「は…？」

「いえ、何でもないわ。」

灰崎は聞いたことの無い名を耳にして、誰だとはてなマークを頭上に浮かべていた。

だがAは顔を横に振って誤魔化せばそのままご飯を食べ進めた。

「ほら、早く食べて練習に行くわよ」

「へいへい…」

灰崎も怠げに返事をしながら、Aと同じぐらいのペースでご飯を食べ進めていった。

.

「はぁあっ!」

数分後。

室内グラウンドで灰崎は吉良と共に"ペンギン・ザ・ゴッド＆デビル"を打とうと、ボールを高く上げて紫色のオーラを纏わせる。

だがそのオーラは直ぐに消え、必殺技は出来ずにそのままボールを軽くゴールネットを揺らした。

ゴールキーパーをやっていた砂木沼はやれやれと両手を上げながら二人を呆れた目で見ている。

「おいおい…これでは全く乗れないじゃないか」

「どうした灰崎? さっきからシュートを打つタイミングが少し早いぞ?」

「チッ…! お前が泥臭いからこうなるんだよ!!」

「お前が焦り過ぎなんだろ雑魚が」

「雑魚はテメェだｯ!足引っ張ってんじゃねぇ!!」

「あぁ!?」

二人は言い争いを始めてお互い睨み始める。

その争いを見たAは呆れながら止めに入る。

「こら二人ともやめなさい! 灰崎くんも人の所為にしないで!」