天空の熾天使ｰセラフｰ【オリオンの刻印】 (ページ20)

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19話ページ20

「本当に貴方達は息ピッタリね」

「「ピッタリじゃねぇよ!!」」

Aが灰崎と吉良の息ピッタリさに素直に述べれば、灰崎たちは再び息を合わせて答える。

灰崎たちはグイッと顔をAに近付かせて来る為、Aは苦笑いしながら後退りをして灰崎たちから距離を取った。

「大体そのストレートから気に食わねぇんだよ!」

「うっせぇ!チュルチュル頭!!」

「んだと!?」

灰崎と吉良はお互いキツく睨み付けた後、自身の鞄を手にして大股で広場を出て部屋に戻っていた。

杏奈に寄ると、どうやら二人は部屋も同じらしく、かなり気が合うらしい。

＊

夜、消灯時間まで自由時間になった皆はそれぞれ部屋で遊んだり練習したりしていた。

Aはベンチに座り、月に照らされる湖畔を眺めていた。

「凄く綺麗…」

月の光でキラキラと煌めく波。そして瞬く無数の星達。

Aはその煌めきと瞬きに吸い込まれるようにボーッとし始める。

すると、その時──…

「──Aせーんぱいっ」

「ひゃあっ!?」

「うわっ!?」

いきなり後ろから声を掛けられ、Aはびくっと肩をびくつかせて大きく驚く反応を見せた。

そのAの声に、後ろにいた少年も驚きに声を上げて目をぱちくりさせている。

Aは振り向くと、走り込みした後なのか汗を少し流しながらポカンとしている一星充がいた。

「な、なんだ、一星くんか…ビックリしたわ…」

「あはは、すみません…走り込みをしてたら、A先輩を見掛けたので」

一星は申し訳なさそうに眉を下げながら、Aの隣に腰を掛けるとAにニコッと微笑んだ。

「それにしても、今の可愛い声でしたねA先輩」

「なっ…い、言わなくていいのっ!」

「あははっ、すみません。…此処で何をしていたんですか？」

「もう…。波と星空、見てたの」

Aはそっと星空を見上げると、一星も釣られるように星空を見上げた。

空は沢山の星で埋め尽くされており、思わず目を奪われてしまう。

「こんなに沢山…綺麗だ」

「ね、綺麗でしょ?」

Aはクスッと笑うと、一つの星座を見詰めた。

「…オリオン座って…まるで閉じ込めてるみたい」

「え?」

一星はAの発言に目を見開いた。

星空を眺めると丁度頭上に、冬の大三角のひとつのオリオン座があった。