認めたくない ページ14
...
「あ、ねぇ男バレの応援行かない?」
きっかけは、その一言だった。
女バレで仲の良い葵に半ば引き摺られ、インハイの予選を行なっている体育館へと来る。
青城の応援席に連れていかれそうになったのを慌てて止め、逆サイドの烏野の方へと移動した。
「何でこっちなの?」
「皆の顔がよく見えるから」
ふーん、と適当に相槌を打った葵を横に、手すりに腕を乗せて顎を上に置いた。
徹の強烈なサーブを見ながら、私は隣の葵にぽつりぽつりと中学の話をする。
「私が行ってた中学ね、バレー部は都大会に出場出来るか出来ないかくらいのレベルだったの」
「へぇ」
「最初は皆んな一丸となって頑張ってさ、大会で優勝したこともあったんだよ?」
前のことを思い出しながら、私は腕に顔を半分埋めてトスを上げる徹を見つめる。
「でも、二年になったとき。一年が伸び始めて、二年は段々練習をサボるようになってきた」
少しだけ上手くなって、それで調子に乗り、努力するということをやめてしまった。
一年はその間にどんどん伸びていって、その間に私たちは些細なミスをしてコーチに怒られての繰り返し。
本当に、苦しかった。
「一年と二年でぶつかったこともあったし、二年の中で揉め事も起こった。…もちろん、退部する人も出てきた」
「……、」
「コーチは失望して辞めちゃうし、皆は練習嫌になってボイコットするしでさ?」
正直、我慢の限界だったんだ。
そう弱々しく呟いた本音は、本当に小さくて葵に聞こえたかは分からなかった。
だけど、真剣な顔で私の話を聞いてくれる葵に、私は今まで辛かったことを全部打ち明けた。
「途中で辞めるのは、負けたみたいで嫌だった。引退しても、一年達と練習に混ざってバレーをやってきた。……でも、」
喉まで出かけた言葉は、私の口から出ることは無かった。
ぽろぽろと落ちてくる涙を拭い、高く上がったボールを見てへの字になった口をキュッと結ぶ。
「…私も、あんな風にバレーやりたかったな」
嬉しそうに仲間とハイタッチをする徹を見て、私はまた出そうになった涙を引き止めた。
...
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逝き - 完結おめでとう御座います〜番外編も楽しみにします〜 (2019年5月7日 15時) (レス) id: 26d0e9c3e0 (このIDを非表示/違反報告)
みずたまみさき - めっちゃ面白い!浮気系好きなんですー!!頑張ってください!! (2019年1月30日 18時) (レス) id: 88a569b2f9 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 宵伽さん» 返信が遅くなってすみません。実は私、こういう浮気みたいなものが書きたかったんです 笑。更新頑張ります!! (2019年1月27日 15時) (レス) id: 938638b464 (このIDを非表示/違反報告)
宵伽(プロフ) - こういうお話大好きです!!夢主ちゃんがんばって!作者様も更新頑張って下さい! (2019年1月21日 18時) (レス) id: 43b2ca551b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Runa | 作成日時:2019年1月13日 22時