三角関係【黄】【緑】 (ページ6)

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大倉side

『このお店あたりやわ、美味しいー』

予約していたらしい個室で美味しそうに料理を頬張るA。

「ほんまや、よう見つけたなこんなとこ。」

おれも少し意識してまうかとか思ったけど、そうでもない。やっぱりこいつとおると自然体でいられる。

『あ、そういや来週休み入ったから大阪帰ることにしてん。』

「おー、お母さんによろしく言うといて。」

『うんー。』

けど、前とは違う感情を、こいつに抱いてるのは嫌なくらいわかる。

口の横に着いたご飯を、ぺろっと舐める仕草とか、

前はなんにも思わんかったのに、少しドキッとする。

前よりももっと一緒にいたい。帰りたくない。

認めなあかんのかな、嫌やな。

おれらはこの仕事をしてる以上、絶対一緒にはなられへんと思う。

世間は、おれらの間には絶対恋愛ごとはないって確信してるし、ファンの子もそうわかってるから仲良くしててもAは炎上したりせえへん。

それになにより＿＿

30年間、幼馴染でしかなかったおれに、今更こいつが恋心抱く可能性なんて、ごくごく小さい。

おれかってそれくらいわかる。

あー俺アホやん。

30超えて、「好きかもしれへん」程度の気持ちで彼女と別れて、しかもその恋愛も上手くいくわけないのに。

彼女かってはよ結婚したがってたのに。

なんにも産まれへんやんか。

『どしたん？顔死んでたけど。』

お前のせいじゃボケ。なんて言われへん。

「美味しいな、ここ。」

今は誤魔化すくらいしかできひん。