初恋19 ページ21
あれから仕事が忙しくあいつの入院は数日ですんだから見舞いは一回だけ。
今日退院だと百さんに聴いて病院に行くとちょうど出てくるところだった。
百さんと千さんがいて手招きをしていた。
「A、お客さん来てるよ！」
「え？退院なのに？」
「ほら、そこにいるよ」
千さんの指差す方向にいるのはもちろん俺。
黒神が俺を見ると大きく目を見開く。
やっぱり好きだ。
普段の冷静な顔もそうやって驚いた顔も。
百さんに見せる無邪気な笑顔も。
全部、全部好きだ。
「くろ」
黒神！そう言おうとしたら。
「っ……！」
「「あ」」
全力疾走と思える速さで逃げられた。
「待てこらーーーーーーー！！」
好きになった子に向かってこんなこと言ったのは初めてだよ。
俺は黒神を追いかけた。
「あらら、行っちゃった」
「二人とも、特にAは素直じゃないよね〜」
その頃俺は黒神を追いかけていた。
「なんで病み上がりでそんだけ速く走れんだよ…！」
ここまであからさまに逃げられたのは初めてだよ！
「アイドルで鍛えた体力ナメんなよ！！」
なんとか足を速めてやっと腕を掴んだ。
振り返ったその表情は。
「…………」
「え？」
真っ赤だった。
でも、その赤い顔。
告白してくれたときと重なった。
そして俺はあるチケットを渡した。
「退院祝い、今度の俺たちのライブに来てください」
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なつめみく - 三月結婚しよう(?) (9月24日 10時) (
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作者名：夏那子 | 作成日時：2021年3月29日 15時
