初恋16 ページ18
Aside
やめてよ。
思わせ振りなことしないで。
「和泉くん……」
スマホを投げようとしたが思いとどまる。
「連絡交換して『ありがとう!これからまたよろしく!』なんて…」
ご丁寧にスタンプまでつけてさ。
百くんから事情は聴いた。
絶対和泉くんに言わないでって言ったのに。
バラしちゃったらこの人は私を遠ざけなくなる。
最悪な状態で別々の道を歩んだ私達。
彼は優しいからあのフリ方に後悔している。
だったらせめてまた話せるように。
そうすると思ったから秘密にしてって言ったのに。
自意識過剰だと思う?でもその案の定彼は私に近づいてきた。
彼と距離を取りたかった理由。
そんなのひとつしかない。
和泉くんはとんでもなく酷い。
可愛らしい容姿なのに男らしくて気が強くて料理とかも出来て。
グループでも頼られてたりして喋りが上手くて。
いつもいつも私を惑わせて。
「もう私を惑わせないでよッ…!」
貴方のこと、忘れたいのに。
「忘れなきゃダメなのに」
今の気持ちを知ったら引かれる。
引かれたくない。
気持ち悪いって自分でも思うもの。
嫌だ、そんなのしんだってお断りよ。
これは誰にも話せない、話すことができない。
だから自分の胸の中にしまっていたのに。
あの人が私を惑わせるから。
「百くんがそのまま婚約者のふりをしてくれれば」
あの人と距離を取れたままだったのに。
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なつめみく - 三月結婚しよう(?) (9月24日 10時) (レス) @page16 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏那子 | 作成日時:2021年3月29日 15時