【アイナナ】初恋は叶わない【和泉三月】 (ページ16)

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初恋14 ページ16

ドラマ撮影が休憩になると俺は気まずさからその場を離れた。

ベンチを見つけてそこに腰を下ろして息を吐き出す。

「ああは言ったけど…気まずいな」

気まずくないわけがないだろ。

初恋の子をフったこと未だに後悔してんだぞ。

水に流せるわけないだろ。

何度も百さんにあいつとの関係を聞こうとしたけど聞けないまま。

やっぱ彼氏…とか？

いやでも、なら俺とキスするか？

「はぁー…」

ため息が出る。

「黒神とどんな関係なんだよ…」

すると何かが頭に当たった。

「いでっ！？」

「あ、ミスった」

「だから無理だって言ったじゃん！」

声をした方向を向くと。

「百さん！？それに…く…皇も…」

「近くまで来たから寄っちゃった！」

どうやら先ほど投げてきたのはお茶。

加減を誤り俺の頭に直撃した。

「ところで俺とAの関係なんだけど」

え！？聞かれてた！？

「Aと俺は」

「婚約者！！」

……え？

「婚約者…だから」

俺の中でパリンッと何かが割れた気がした。

いやまぁ俺の心がなんだけど。

それだけ言うと黒神は走っていった。

「…そっか…俺はもう…取り返しのつかないことを…」

「まだ取り返せる」

百さんの顔を見ると真剣な顔をしてた。

「俺とAは恋愛感情なんて微塵も抱いてないいとこだよ」

じゃあ、なんで嘘なんか。

「A、俺との関係を三月には秘密にしてたけどこればかりは見過ごせない」

そう言う百さんの顔は真剣だった。

「Aが嘘をつくのは120%の確率で動揺してるときだから」

動揺して支離滅裂なこと言うみたいな感じか。

でも…そっか…。

「は、ははっ…はははっ…」

「三月？」

俺は笑いながら出た涙を拭いた。

「俺、決めました、もう二度と諦めません」

話せる時が来るか分からないけど。

俺はあいつが大好きだ。

次は俺があいつを追いかける番だ。

何度だって振り向かせてやる。