警戒心を持て。【探鉱者】 (ページ8)

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8話ページ8

誰もが一日だけ主役になれる日がある。

家庭環境もあり誕生日はいつもと変わらない日だと思っていた。

「ん…」

朝が来た。

今日は私の誕生日である。

毎年この日が来ると少し憂鬱になるというか…

そもそも論、私は皆に誕生日を言っていない。

祝うのは自分だけで良いから。

さてさてふわぁ、とあくびを噛み殺しつつ食堂のドアを開けた。

パァン‼

「「「お誕生日おめでとう、A！！」」」

「…ん？」

目の前にはクラッカーを持った荘園メンバー。

「さ！主役はここに座るなの！！」

エマちゃんに押されて椅子に座る。

よく見ればハンターもサバイバーもこれ全員いるじゃん。

何だこれ。

「今日はAの誕生日でしょう。」

と言うマリーさん。

「私、言いましたっ、け？」

「荘園の主から聞いた。軍人舐めないでよね。」

マーサ、それに軍人は関係ないんじゃ。

「まずはケーキね！！」

そういうデミさんがどでかいケーキを持ってきた。

何だこれ。

「次はプレゼントだね！！まずは僕から！！」

そう言ったトレイシーが私にサングラスをかけた。

「なんと、このサングラス。光りまーす！！」

ピカァ。

光ってるのか？

「「主張感www」」

「次は私なの！！花束なの！！」

「きれい…」

色とりどりの花束をエマちゃんから。

「Aのために調香したわ。」

「良い匂い…」

良い匂いの香水をウィラから。

「Aに似合うと思うどす。」

「かわいい…」

可愛い簪を美智子さんから。

その後たくさんの人からプレゼントをもらった。

誕生日の歌も歌ってもらって皆でワイワイしながらケーキを食べた。

ポロッ。

次の瞬間皆がぎょっとした顔で私を見た。

「A、泣いてるなの？」

「え…」

気がつくと泣いていた。

「ごめん、こんなに、誕生日が楽しかったの、初めてだから…」

「…では来年も皆さんと一緒に祝いましょう。」

「納棺師…」

「皆、ありがとう。」

次の瞬間、静まりかえる食堂。

「笑った……Aが…」

「A～～！！！！」

「え…？」

めっちゃ抱きしめられた。

ーーー

「ふぅ…」

今日はかなり楽しかった日になった。

思い出になりそう。

「A。」

ドキッとした。

少しだけソイツの声を待っていた自分がいた。

「ノートン…」