警戒心を持て。【探鉱者】 (ページ19)

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19話ページ19

「A！！！」

後少し、手を伸ばせば君に届く。

かなりの勢いで走ってきているのがこちらからでもわかる。

私は可愛いお姫様じゃないよ、

でも助けに来てくれるんだね。

「ノートン…！」

手が届いた。

そして強く強く抱きしめられた。

「心配した…」

「ごめん…」

ぎゅっと私を抱きしめる力が強くなる。

ノートンに抱きしめられると安心する。

暖かくなる。

「……あの時は、ごめん。」

抱きしめあっているためお互いの顔が見えないけど、しゅんとした声がぽ反りと聞こえていた。

「Aが、マイクと浮気してたと早とちりして……それで…本当にごめん。だからさ、こんな俺とはもう……」

「く…………………ん？私たちって付き合ってたっけ？」

「「あ。」」

ぽくぽくちーん。

「ぶっ、ふふwww」

と大笑いする私。

拗ねて何も言わなくなってしまったノートン。

「じゃあ、今からでも恋人になればいい。」

「…は？」

ノートンの膝の上で抱きしめ合う形から、お互いに顔を見合う形へと変わる。

目の前にノートンがいて、恥ずかしくて目を逸らす。

「こっちむいて、A。」

ノートンの手がそれを止める。

「Aさん、好きです。これからも大切にします。だから、僕と付き合ってください。」

もう答えなんかとっくに決まってるし。

それなのに言わせようとするとか、

ノートンはやっぱり嫌いだ…

「こちらこそ、好きです。ノートン・キャンベルさん。付き合ってください。」

おかしくなって二人で少し笑った。

チュッ。

可愛らしいリップ音がしてふに、とした感触が唇に伝わる。

「！！！？？」

「もう恋人だからいいでしょ。」

と悪そうに笑うノートン。

私の顔にみるみる熱が集まる。

慌てて顔を反らす。

照れるじゃないか…

かっこいいとこもあるんだな、クソ。

「それにしても顔が涙で濡れて不細工になってるよ。」

前言撤回。

バチンッ！！

その後、顔を腫らしたノートンと不機嫌そうなAが手を繋いで帰ってきたとさ。

「めでたしなの？」
　

とマリーは、思った。