【アルスマグナ】それが、ルールだから【悪ノ大罪】 (ページ12)

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公爵ノ願イ～『色欲』ヴェノマニア公の狂気～④ ページ12

アスモディンに着いてから数日が経った
その間に何があるわけでもなく、強いて言うなら失踪した女性が増えたということぐらいだろう
(今度は貴族の女性、か…)
別に失踪した女性について調べているわけではないが特にすることのなかった俺は暇つぶし程度に情報収集をしていた
(やはり怪しいのはサテリアジス＝ヴェノマニア公爵ですか…)
いや、それについてははじめに彼女が言っていたのだから間違いないのだろう
(ただ…目撃情報がないのはおかしいですね)
自分の住んでいる領の領主が来ていたのなら誰かは気づいているはずなのだ
『…くん…奏くん？』
「っ…A？どうしたのですか？」
『いえ…真剣だなと思いまして。でも前を見ていなきゃ危ないですよ？』
「ああ…そうですっ…！」
言われたそばから誰かにぶつかってしまった
「…と、すまないな」
相手は白髪でロープをし、肩に赤い猫を乗せている女性だった
「いえ、こちらこそ…前を向いていなくてすみません」
彼女が通り過ぎた後ふとAの方を向くとかすかに震えていた
「どうしたのですか？」
『…なんで…ここで…』
Aの言葉の真意は分からない。だから俺は彼女の震えが収まるまで手を握っていた