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平和で平和だった日々 ページ3





それから数年。
私は16歳となった。




『ママ!ちょっとお出かけしてきてもいい?』



「何処に行くつもりなの?」



『近くの原っぱに綺麗なお花が咲いているの』



「…近くならいいけど、仲間の居るところにいるのよ?」



『分かったわ、じゃあ行ってきます』



お気に入りのお母さんが編んでくれた
薄桃色のサテン生地で出来た膝丈のワンピースを着て原っぱへとでかけた。



『わあ…パパと来た時よりも沢山お花が咲いてる…』


『持ち帰っておじい様たちに見せてあげたい…けど、』


『お花も私と一緒で生きているものね…摘むのはやめよう』



ゴロンと草原の上に倒れ込む。
新緑のいい香りと、優しい花の匂い。



『今のうちで楽しんどかなきゃね』



小さなバッタに話しかけたり、
アリンコさんにポケットに入っていたクッキーを
割ってプレゼントしたり…春を満喫していた。



そんな時だった。



パアァァァァン



周りにいた虫達も、木の茂みに隠れていた
鹿やリス達もいっせいに隠れたりどこかへ逃げ出す。




『さっきの…音…って』




ドクンと大きく心臓が鳴る。
体が全然いうことを聞かない。




『やだ…やだ、…怖いよ…や、』




周りを見ても人っ子1人居ない
もうダメなのかな、
そう思った時、



もう1度、あの耳を劈くような大きな銃声が
森一体に鳴り響いた。




『…!』




途端クイッと引っ張られる腕。
そのまま誰かに腕を引かれたまま、
近くの小屋の中へと隠れる。



一瞬の出来事で頭が追いつかない私に、
助けてくれた人はこう言った。




「Aちゃん!ほんま危なかったで」



ふにゃっとした柔らかい笑顔。
そして聞きなれたハスキーボイス。



お隣さんの紫耀くんだった。




『しょ…く…ッ…』



悪い狩人だったらどうしようとか思っちゃった。
安心したら、眼から涙がポロポロ出てきた。



「ふふ、大丈夫やで」



頭をポンポンしてくれる紫耀くんの掌は
私と同じ16歳の掌なのに、


大きくって、逞しくって、優しかった。




ーーー

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設定タグ:永瀬廉 , ジャニーズJr   
作品ジャンル:恋愛
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帰蝶(プロフ) - はじめまして!!!コメント失礼します!!!私はこういうお話が大好きなので読んでいてホントに楽しいです!!!更新を楽しみに待ってます!!!これからも頑張ってください♪応援しています!!! (2018年2月26日 22時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
#土筆 - はじめまして!本当に面白いです!!更新頑張ってください!ずっと応援しています! (2016年12月25日 21時) (レス) id: 55722025e8 (このIDを非表示/違反報告)
ライム(プロフ) - 更新待ってました〜♪ 頑張ってください!楽しみにしています! (2016年12月19日 2時) (レス) id: dbfdb68a60 (このIDを非表示/違反報告)
はるち - めっちゃ面白かったんですけど、凄いお話ですね。 (2016年9月20日 14時) (レス) id: fb4b4f2984 (このIDを非表示/違反報告)
真歩(プロフ) - ライムさん» 嬉しいです(つω`*)頑張れるコメントありがとうございましたー(^^♪ (2016年9月19日 8時) (レス) id: c18532e2d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真歩 | 作者ホームページ:Twitter @maho_novel_  
作成日時:2016年7月13日 15時

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