始まりと終わりは桜の下で ページ7
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初めは貴方に尊敬を抱いた
あの日
俺はまだ構内が分からなくて
友達と約束した場所に辿り着けず
気づいたら中庭の桜並木がある場所にいた
ここどこだよと思いながら
目の前の綺麗な桜を眺めていた
でも俺にはそんな時間はない
友達を待たせている
急がなければと再び歩き始めた直後
どこから転がってきたのか
足元には一本の鉛筆
誰のだろうと周りを見渡せば
近くのベンチで絵を描いている人がひとり
きっとあの人のだと思い
足元の鉛筆を持ち上げればよく見ると先はもう丸い
でも届けないといつかは困るだろうから
勇気をだして声をかけた
「あの〜、これ落としましたか？」
「え？ああ、ありがとう！もしかして新入生？」
「はい！経済学部に通ってる櫻井翔です！」
「ふふ、おいら美術科に通う二年の大野智。ここ広いでしょ？もう慣れた？」
「いえ、まだ…。」
「だよね。まだ一カ月も経ってないし、当たり前だよ。おいらなんて覚えるのに二カ月ぐらいかかったよー。」
「そうなんですか…。えっ！これここの桜ですよね！凄い上手いですね！あっ、すみません…見てしまいました…。」
「いいよ、全然。でもありがとう、褒めてくれて。純粋にそんなに褒めてもらったの久しぶりだぁ。」
俺はここで我に返ったんだ。
ここで何をやっているんだ！
友達を待たせているんだぞ！と
でもどうやって行くか分からない
よし、大野さんに聞いてみようと思ったときだった
「翔ちゃーん！いたいた！もぉ、ここ広すぎる！でも翔ちゃんがここにいてよかったー！」
「雅紀！？なんでここに？あれ、約束した場所って食堂じゃなかった？」
まさかの約束していた友達登場。
雅紀はここを通った方が早いと教えてもらい
その人に付いてきてもらったと言っているが
どう考えても雅紀の後ろには誰もいない
でもしばらくすると雅紀の後ろから
「相葉ー！急にいなくなるなって！ちょっと探したじゃないですか！だいたい私の方が先輩なんですからね！少しは…」
と叫ぶ人登場。
その人は雅紀の幼馴染で
ここの音楽科に通う二宮さんだった
どうやら大野さんとも仲が良いみたい
それを聞いた時、なぜか胸がチクリと痛んだけど
気づかないフリをした
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作者名：虹 | 作成日時：2018年2月7日 20時
