ひと息の旋律（YG） (ページ8)

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ユンギの部屋は、シンプルで、とにかく物が少なかった

『漫画とか、ゲームとかないんだね』

「買ってくれねぇからな」

代わりに、高そうなピアノと、ギター。

テーブルの上には楽譜がいっぱいあった

「何、緊張してんの？」

遠くから見ると細くて小さく見えたユンギだけれど、隣に立ってみると、私よりかなり身長も高いし、肩も意外と大きくて、

ちょっとだけ、どきりとした

『してないし』

.

その日は、漫画とかゲームの話をして、

最近のものを全然知らないユンギに私が説明して、ユンギはそれを興味深そうに聞いていた

そして、帰る時間になって、

『私昨日帰る時に見られたんだよね』

学校の下校時間とかぶっていたから

「あー、じゃあ裏から帰る？

塀の裏にまわって、森の方に出たら、一本道が繋がってるから、そこ抜けたら大通りに出れるぞ」

ユンギはそう教えてくれた

『ばいばい』

「おう」

ユンギにそう伝えて、言われた通り裏に向かう

思ったよりしっかり森で、日も落ちてきたからかなり暗くて、ちょっと怖かった

だけどたしかに道と呼べそうな物が先まで続いていて、怖さを誤魔化すように無我夢中で走った

ようやく森を抜けると、目の前に広がっていたのはたしかに見覚えのある大きな道で、だけど、なんとなく家まで走り続けた。