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そこから、会話はなかった
どちらからともなく、手が触れて、唇が触れて、ユンギの背中に手を回した
塩を含んだ海風が、わたしたちを撫でる
唇が、温もりが離れて、息ができなくなった私たちはそろって肩で大きく息を吸った
『
「なる。ぜってーなる。ほら、約束。」
ユンギが私に小指を差し出す。その指に迷わず自分の指を重ねた
約束
その言葉が妙に嬉しかった。約束、私とユンギの、約束。
頭の中では、いろんなことがぐるぐるとめぐっていた
背中を押してくれたテヒョン
ごめんね、テヒョン。やっぱり君はさ、友達だったよ、私の。
楽しい時間をありがとね
彼の夢にでも届くように、密かに願った
「A」
ユンギの声が私を"今"へと引き戻す
どうやらもう、時間はないようだった
『うん』
.
私もユンギも、きっとまだ子供だった。親にきちんと躾けられていない、小さなこども。
『「せーのっ」』
そんなこどもらしく、無邪気なふりをして、空へと一歩を踏み出した
体がバランスを失っても、冷たい衝撃が走っても
私の右手にはずっと、温もりが残っていた
.
.
多分、忘れない
このけたたましく耳に残っていた蝉の声を、
体にまとわりついていた生ぬるい風も、
肩で大きく息をしていたユンギを、
右手に感じた温もりを、
交わした約束を。
私たちが過ごした日々を。
.
『あいしてるよ、ゆんぎ』
私たちはただの"仲間"ではなく、共謀者だったみたいだ
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Yellow8938(プロフ) - 朝早くからすみませんいつも楽しくお話拝見させて頂いてますTwitterフォローさせて下さい宜しくお願いします (2022年1月11日 6時) (レス) @page33 id: 33b6e6a7a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綺夢 | 作者ホームページ:https://twitter.com/ki5tm9?s=21
作成日時:2021年11月19日 1時