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『はあっ、』
走り疲れて、息が上がってきて、ユンギの家の前の坂を登り切ったところで、私は足を止めた
迷わず裏口に回って、他のところよりも少し低くなっている石垣に手をかける
不法侵入、そんな物騒な言葉が頭に浮かんだけれど、もうなんだっていい。
なんとかよじ登って、中に転がり込む
拍子に靴が脱げてしまったけれど、そんなの気にならなかった
お願い、ユンギ、気がついて。
そんな気持ちでいつもの窓を静かに叩く
三回ほど叩いたところで、しゃっと、カーテンが開く音がした
『ゆんぎ!』
ガラス一枚挟んだ向こうに、ずっと会いたかったその人はいた
「なんでいるんだ」
ガラス越しにかすかに声が聞こえる
表情は、驚いているように見える
見ないうちにまた、前髪が伸びかけて目にかかっていたけれど、それすらも愛しく感じた
『ねえ、ユンギ、』
窓にかかっている鍵も、外からのもので、ユンギはそれを開けられない
『壊してもいい、?』
窓のことを言っているのではないと、ユンギには伝わったようだった
刹那、ユンギの瞳に動揺が走って、でもユンギは強く頷いた。
「おれがこわす。離れてて」
言われた通りに窓のそばから離れる。心臓は飛び出そうなくらいに大きく鳴っていた
ぱりん、
ガラスの割れる音、決して小さくはない。
異変に気がつく人がいてもおかしくはない
それも気にしていられない
「いくぞ」
軽々と、ユンギは石垣に登って、私に手を差し伸ばす
その手を強く掴むと、ぐい、と引っ張られてあっという間に私たちは逃げ出してしまった
.
『どこいくの』
「海」
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Yellow8938(プロフ) - 朝早くからすみませんいつも楽しくお話拝見させて頂いてますTwitterフォローさせて下さい宜しくお願いします (2022年1月11日 6時) (レス) @page33 id: 33b6e6a7a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綺夢 | 作者ホームページ:https://twitter.com/ki5tm9?s=21
作成日時:2021年11月19日 1時