ひと息の旋律（YG） (ページ36)

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__パチン

乾いた音が走った。

私を叩いた彼女の顔は、怒り、焦り、諦め、そんな感情で満ちていた。

ああ、今私は、彼女にとっての「いらない人」になったのだとありありと感じる

「ふざけないで」

叩かれた頬はじんじんと痛んだ、自分では見えないけれどおそらく赤くなっているのだろう。

「説明しなさい、なんでこうなったのか」

彼女の前に置かれている、私の成績表。

なぜ彼女が、母が怒っているのかなんて、想像に易い

前回の模試に比べて、成績が落ちている、それもはるかに。

「放っておいたらすぐに怠けて」

声に込められた叱責は、弱まる気配がなかった

『ごめんなさい』

こういう時の対応は、謝ることしか持ち合わせていない。

それもある意味彼女からの'躾'であった

理由なんて自分では分かりきっているけれど、それでも説明する気はなかったし、彼女だって言い訳をさせる気はないようだった

「お父さんになんて説明すればいいのよ」

結局それか、そう思った

「私の育て方が悪いって言われるでしょ」

自分が嫌われたくないから、怒るのだ、彼女は。

私の成長のためなんかじゃない

そのことに嫌気がさした

『志望校、変えようかなって』

控えめに言った私を、彼女は鋭く睨みつけた

「は？」

「そんなの無理に決まってるでしょ」