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沈黙が続いた私たちの間は、ユンギが立ち上がった音でかき消された
後ろ姿のユンギを見ながら、私はいつもよりも心臓が早いことを感じてしまう。まあそれにも一応気がつかないふりをしておくのだけれど
数分が経って、帰ってきたユンギの手には前と同じ、はさみと新聞紙が握られていた
「ん」
と鋏を私に手渡して、床に新聞紙を敷いていく
『私でいいの?』
「なんで?」
『こないだの、微妙だったでしょ?』
「まあ、悪くはなかった」
悪くはない、ユンギの髪なのに、そんな適当でいいのだろうか
戸惑う私に、
「まあ、練習したら上手になるんじゃね?」
ユンギは爆弾を落とす
『え?』
それは、これからも切れと言う意味だろうか
その言葉の真意を図りあぐねている私を見て、ユンギは楽しそうに笑った
.
.
「お、前回よりはいいじゃん」
鏡を覗いたユンギが言った
『よかった』
切った髪の毛を片付けて、ゴミ箱に捨てていると、鋏を直しにいっていたユンギが部屋に戻ってきて、椅子に腰掛けた
「なあ」
ユンギが私の方を見ている視線を感じた、もっと直接的に言うと、私を見つめていた
開け放たれた窓からは夕陽が差し込んで、私とユンギと、部屋の中にあるピアノならなんやらを赤く染めていた
「今日一緒にいたやつ、誰?」
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Yellow8938(プロフ) - 朝早くからすみませんいつも楽しくお話拝見させて頂いてますTwitterフォローさせて下さい宜しくお願いします (2022年1月11日 6時) (レス) @page33 id: 33b6e6a7a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綺夢 | 作者ホームページ:https://twitter.com/ki5tm9?s=21
作成日時:2021年11月19日 1時