. ページ12
.
.
.
ともたかside
放課後、約束通りAと帰る。
海辺の歩道は夏が近いことを知らせるように潮風にさらされる髪がサラサラとベタついていく。
この先の曲がり角で、俺たちはいつも別れる。
先を歩く君を、引き止める言葉は数少ない。
とも「A」
『んー?』
初めてあった時よりずいぶん伸びた髪を揺らして振り返る。
その動作を一枚一枚切り取って、写真にして飾ってしまいたいと思わせるほど、可愛くて、まだ一緒にいたいって何度も思う。
とも「俺の家、きませんか」
『………』
はぁぁぁ…
間違えた。今日洋平からの心無い言葉に傷ついたAを引き止めるのはこれじゃなかった。
とも「いや、違くてね、今日誰もいないからゲームでも…って…ね」
焦っていう言い訳は本当だけど、少し嘘。
言い訳しすぎて、なんか怪しいな俺。
『いいよ、行く』
とも「ダメだよね〜……行く?」
『うん。行く。こっちだよね?』
一度も俺の家に来たことなんてないのに、また先を歩いていってしまう。
ダメだよね。本当にダメ。
よくないってわかる。なんのドキドキなのか分からないけど、高鳴るのは心臓。
____________
家について、本当に誰もいないから、俺がお茶を持っていくと、Aは俺のベットを背もたれにして床に座って暮れ行く外を眺めていた。
その横にそっと座っても、Aはこっちを振り向かない。
とも「A」
『んー…?』
とも「なんで来たの?」
俺の家に。
彼氏の、それも、誰もいない家に、誘って
そこに来た意味をAが知らないとは思えない。
.
.
.
121人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なぁ(プロフ) - ノアさん» ノアさんこんな古い作品を読んでいただいてありがとうございます…自分の中でかなり挑戦した話なので、そう言って頂けて嬉しいです… (2020年3月15日 23時) (レス) id: 07945c6d2e (このIDを非表示/違反報告)
ノア - これ……………………繋がってたんですね……ウワァ………………やられました、脱帽です、ありがとうございました。あなたの言葉の選び方、比喩、情景、全て大好きです。 (2020年3月15日 20時) (レス) id: 482604c455 (このIDを非表示/違反報告)
なぁ(プロフ) - あああさん» 最後は本当に納得のいく作品を書きたくて、ゆっくり書いてしまっておりますが、どうか引退まで気長にお待ちください!本当にありがとうございます!! (2019年5月3日 16時) (レス) id: 07945c6d2e (このIDを非表示/違反報告)
なぁ(プロフ) - あああさん» 初めて書かれる感想が私の小説であることを嬉しく思います泣 しかもこんなにたくさん…!!本当に嬉しいです!私の小説は私の経験2%くらい配合されておりまして、人生で印象に残ったシーンが度々出てきたりして、私の思い入れも強い作品が多いです! (2019年5月3日 16時) (レス) id: 07945c6d2e (このIDを非表示/違反報告)
あああ(プロフ) - 本当にありがとうございました。少しでもこの感情が伝わっていれば、、幸いです。また、こちらに戻ってくる日があれば楽しみにお待ちしております。では。(長文失礼致しました) (2019年4月29日 12時) (レス) id: 1b690e4942 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なぁ | 作成日時:2018年12月22日 5時