【wrwrd】誘拐されて幸せになるのか…？【マフィアパロ】 (ページ4)

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第二話　いつも通りの朝…？ページ4

私は下を向きながら、人通りの少ない、駅への道を歩いていた。すると、

？「あの、ちょっといいですか？」
と後ろから声を掛けられた。

『何でしょうか。』
私がそう言いながら振り向くと、一人のスーツに身を包んだ、少し困った様な顔をした男の人が立っていた。

？「今大丈夫ですか？」

これから学校に行くところではあるが、明らかに何か困っているのだろう。元々頼み事を断るのが苦手な私は、つい了承してしまう。

？「それでですね、実は道に迷ってしまって…。良ければ道を教えて頂けません？」

道に迷ってしまった人なのか。標準語を話しているし、この辺りの人ではないのだろうか。

『わ、分かりました。どこに行かれるんですか？」
？「！ありがとうございます。ええっと、ここなんですけど…。」

彼はポケットからスマホを取り出し、マップを私に見せた。私は彼に近付いてスマホの画面を見せてもらう。

『あ、ええと、ここならこの道を左に曲がって…。
え？お、お兄さん…？』

説明している最中に彼の目を見ようと顔を上げると───

彼は冷ややかに、ニヤリと笑っていた。

背筋がぞわりとして、冷や汗が首を伝う。

鳥肌が立つ。

そういえば、何故スマホを持っていたのに、私に道を聞いたんだろう。

本能的に、この人は危ない、と脳が警報を出す。

咄嗟に逃げなきゃ、と思うも、恐怖で体が思うように動かない。

『どう、したンッ！！？』

どうしたんですか、と聞こうとして、何とか絞り出した言葉も、後ろから腕をガシッと掴まれ、羽交い締めにされる。

？「声、出しちゃダメやで？」

さっきの人の良さそうな、彼とは思えない様な、怖い声で、関西弁を話す。
由香様や妃弥香様と同じ方言なのに、恐怖が倍増するのは何故だろう。

必死に抵抗しようとすると、こめかみに冷たい物を当てられた。

もしかして…

いや、これは…

銃ではないか…？

どうしよう。
怖い。

まさか………

殺される…？

その考えが脳をよぎり、ガタガタと震えが止まらない。

涙が頬に流れる。

何で、何で。

？「あーあ。泣いてもうて…。可哀想になぁ？フフッ。」

目の前の彼が笑っている。

？「ちゃんと黙っとるのは偉いわ。でも…」

彼が私の顔にハンカチを当てる。
甘い香りが鼻腔に広がる。
吸ったらダメだと頭では思っても、口も塞がれた私は鼻から空気を吸ってしまう。

？「ちょーっと眠っといてな？＂白矢ちゃん＂？」

そして、私は意識を手放した。