No.31 憎悪 ページ34
Aは勿論冗談で言ったつもりだ。が、実際タイミングがズレていればそうなっていた。
Aの父は、自分の子供に暴力を振るっていた。仕事もない。金もない。何の取り柄もない男だっただろう。
とはいえ、記憶はないに等しい。幼い頃の出来事であるし、マフィアという場所にいれば、両親の事など考えている余裕はなかった。思い出したくない思い出でもある。
対して母親は、Aを決して庇う事もせず、眼を背けていた。
いつも怯えていた。抵抗していたところを、見たことがなかった。言いなりだったのだ。彼女は“ヒーロー”ではなかった。
“ヒーロー”など、存在しなかったのだ。あの家には、あの家族には。──居なかったのだ。
母は、Aが殴られようが、血を吐こうが、「傍観者」で居続けた。モノクロの世界でも、恐怖に支配された瞳は、よく覚えている。
両親。「普通」ならば、子供を自分の命を懸けてでも守り育てるものだ。だが、本当に彼らは「両親」だっただろうか。その役割を果たせていただろうか。
良く、分からない。覚えていない。
あの時、あの瞬間。“ヒーロー”が居たならば。
この最悪で最低な人生も、少しは──
(……報われてたかも、なんて)
自分勝手な思想に吐き気がした。報われる？ 報われる訳がない。選択を誤ったのだから。道を間違えて、間違えて。自己責任だと言うのに。
何故、自分が一番「可哀想」だと思ってる？
(……大嫌いだ)
全てが。自分の全てが。感情を持たない「
重たい息を吐き出し、次の言葉を紡いだ。
「君は、親が憎いのか」
そう聞くと、紅白頭の眼が光った。いや、嫌悪がドス黒く体の芯を渦巻いているような。黒く濁った心情が結集して、“光”になっていた。
途轍もない、遺恨の塊。そのくらい、親に酷い仕打ちを受けてきたのだ。
たった十五歳の少年が、単純に夢を追いかけることができず、「壁」に囚われている。
何がオ一ルマイトだ。何が平和の象徴だ。何がヒーローだ。
──ヒーローがいるのなら、ヴィランを、私を「平等」に助けてほしかった。
(……それが叶うなら苦労してないさ)
自虐的な笑みが、助けてもらえなかった苦しみが、Aに浮かんでいた。
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92Uranium(プロフ) - 流暢じゃなくて悠長だと思うんですが勘違いでしたらすみません (2023年2月24日 16時) (
レス) @page48 id: 30affeabb2 (このIDを非表示/違反報告)
瑞樹(プロフ) - 誠に申し訳ございませんが、検索よけのため、引っかかるキーワードが含まれているコメントは削除させて頂きます。ご理解お願い致します。 (2023年1月18日 22時) (レス) id: 554508b1f5 (このIDを非表示/違反報告)
ﾃﾝﾌﾟﾗさん(プロフ) - No.19の量量は要領でしょうか？ (2023年1月16日 16時) (レス) @page22 id: ac3994717f (このIDを非表示/違反報告)
s(プロフ) - あやうる…？あらゆるですかね (2022年10月10日 3時) (レス) @page37 id: 24c6dcc0b6 (このIDを非表示/違反報告)
ペネロッペ(プロフ) - 学校のiPad……お揃いですね！私は携帯が使いにくくて学校のiPadを…授業中に…… (2022年10月7日 12時) (レス) id: 4e7520e5da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑞樹 | 作成日時：2022年9月20日 21時
