No.23 友達 ページ26
「……本当は、こんなこと言うつもりじゃ無かったんだろう？ 君が自分の個性に嫌悪感を感じてることを知ってたのにね」
黙ったままAの顔を見つめてくる心操と目を合わせないまま、Aは話を続けた。
「心操は私のことを過大評価しすぎだよ。そこまで大層な人間じゃない。……いくら良い個性だったとしても、誇りに思えない人間だっているんだよ」
「……」
よく理解出来ないような、よく分かっているような。微妙な表情で心操はAの言葉を受け止めていた。心操の個性だって、使い方次第では十分に良い個性と言える。尤も、彼はそうは思っていないだろうが。
Aのようなどこから見ても貴重で融通の効く個性を羨んでいる心操には、それを否定する気持ちが余り分からないようだった。
しかし、己の個性にネガティブな意見を持っているところは共通している。が、ただそれだけの事だ。Aと心操は違う。
「言い訳がましく聞こえるだろうが、私は別にヒーローになりたい訳じゃない。それに……」
(私には、
ちらっとAに
「……これでも、割と心配してるんだ。えっと……その……」
「……」
言葉に詰まったAに、心操が真剣な様子で続きを待つ。何か重要なことを言うと勝手に思っているようである。
「──友達、だから……？」
自分で言ってみたが、なんて小っ恥ずかしいのだろう。こんな事を言ったことは過去に数えるほどしかない。
心操が何も言わないので、段々と自信がなくなって疑問形になる。今すぐ言葉を取り消したい気持ちに駆られる。
「……何で、疑問系なんだよ……言い出したの、お前だろ……」
少しして彼が呆れたように聞いてきた。しかし表情は先程と比べて柔らかくなっていた。
想定内、とはとても言えないが、雰囲気が穏やかになった気もする。
「いや……あんまり言ったことなくて……恥ずい」
「……何それ」
Aが言葉を必死に紡ぐ。自分の顔が、火が出そうなくらいに熱い。手で仰いで何とか正常に直そうとするのを見ていた心操が、ついに吹き出した。
「……はは、お前、笑わせるんじゃねぇっ……」
「別にそんなつもりで言った訳じゃない！ 笑うな……！」
腹を抱えて思いっきり笑う彼に向かって遂に耐えきれなくなって叫ぶ。こんな惨めな姿を晒すとは、自分でも思っていなかった。
(……でも、あんまり悪くはない)
「おい！ 何やってんだ！」
「「……あ」」
……先生に心操と共に説教されたのは、また別の話。
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92Uranium(プロフ) - 流暢じゃなくて悠長だと思うんですが勘違いでしたらすみません (2023年2月24日 16時) (
レス) @page48 id: 30affeabb2 (このIDを非表示/違反報告)
瑞樹(プロフ) - 誠に申し訳ございませんが、検索よけのため、引っかかるキーワードが含まれているコメントは削除させて頂きます。ご理解お願い致します。 (2023年1月18日 22時) (レス) id: 554508b1f5 (このIDを非表示/違反報告)
ﾃﾝﾌﾟﾗさん(プロフ) - No.19の量量は要領でしょうか？ (2023年1月16日 16時) (レス) @page22 id: ac3994717f (このIDを非表示/違反報告)
s(プロフ) - あやうる…？あらゆるですかね (2022年10月10日 3時) (レス) @page37 id: 24c6dcc0b6 (このIDを非表示/違反報告)
ペネロッペ(プロフ) - 学校のiPad……お揃いですね！私は携帯が使いにくくて学校のiPadを…授業中に…… (2022年10月7日 12時) (レス) id: 4e7520e5da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑞樹 | 作成日時：2022年9月20日 21時
