No.16 冷たい瞳 ページ18
緑谷はヴィランである爆豪・飯田チームに勝利した。しかし見事に負かしたというわけではなく、腕を犠牲にしたギリギリの勝ちだった。
勝負に勝ち、戦いに負けた。そう言われても致し方ないほどだ。
考えていた最中に、グッと痛ましく紫に変色した腕に激痛が走る。明らかに骨折は決定事項で、最悪殆どが粉砕骨折かもしれない。
どうしよう。勝負の後でもあるし、怪我の痛みで頭が良く働かない。取り敢えず立ちあがろうとしたところで足音が聞こえてきた。
(誰だろう？ 麗日さんかな)
が、予想に反してそこに現れたのは──
「か、金子さん⁉︎」
──金子Aだった。
驚きで声が裏返ってしまった。何故ここにいるのだろう？ そう疑問に思ったが、オ一ルマイトが治癒要員として働く、と言っていたことを思い出した。
個性でも怪我を治せると言うのは貴重で重宝される。彼女は普通科らしいので、今からでも使い方をマスターさせる気なのだろう。
「いい。喋るな。治してやるから」
緑谷とも目を合わせようともせず、Aは強い言葉で彼を制した。最初からクールで冷静で知的そうなイメージのあった彼女は、予想していたよりも無愛想だった。
大人しそうな子だとは思っていたが、余りキツい印象ではなかったので驚きもあった。しかし緑谷が怪我をしてそれをAが治しにきているのだから、苛立ちの原因は自分にあるのかも……。
申し訳なくなって、腕を観察する彼女を遠慮がちに見つめる。
が、目の前の人物とは全く目が合わなかった。意図的に逸らされているのかなと考えて、さらに申し訳なさが増した。
するとAの手が光った。途端に金子の手から出てきたのは小瓶のようなもので。
完成したであろう薬を手にするなり、緑谷の腕にかけ始めた。
みるみると怪我が回復していき、治った。
(す、凄い……！ こんな強固性見たことない……)
彼の癖で、思わず考えが働く。そもそも治癒できる個性持ちの知り合いはいなかったし、実際これほどまでに効き目があるとは思っていなかった。
確かに普通科でありながらヒーロー科の授業を受けにくる理由も分かる。
「わぁ……すごい個性だ！ ありがとうございます！」
咄嗟に感謝の言葉を口にした緑谷は、Aの顔がある上の方へ視線を移した。やっと目線がかち合った。
黒曜石を嵌め込んだかのような美しい目に惹きつけられると同時に、思わず身が竦み、寒気を覚えた。彼女の瞳は何も映していなかった。
余りにも闇く、丸で絶望の淵を彷徨っているかのような淋しい、“普通”に生きてきたとは考え難いほどに闇い眼だった。
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92Uranium(プロフ) - 流暢じゃなくて悠長だと思うんですが勘違いでしたらすみません (2023年2月24日 16時) (
レス) @page48 id: 30affeabb2 (このIDを非表示/違反報告)
瑞樹(プロフ) - 誠に申し訳ございませんが、検索よけのため、引っかかるキーワードが含まれているコメントは削除させて頂きます。ご理解お願い致します。 (2023年1月18日 22時) (レス) id: 554508b1f5 (このIDを非表示/違反報告)
ﾃﾝﾌﾟﾗさん(プロフ) - No.19の量量は要領でしょうか？ (2023年1月16日 16時) (レス) @page22 id: ac3994717f (このIDを非表示/違反報告)
s(プロフ) - あやうる…？あらゆるですかね (2022年10月10日 3時) (レス) @page37 id: 24c6dcc0b6 (このIDを非表示/違反報告)
ペネロッペ(プロフ) - 学校のiPad……お揃いですね！私は携帯が使いにくくて学校のiPadを…授業中に…… (2022年10月7日 12時) (レス) id: 4e7520e5da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑞樹 | 作成日時：2022年9月20日 21時
