No.10 ある感情 ページ12
来たのだろう、“ヒーローの卵”達が。しっかりと気を引き締める。
自分は今、雄英�盥三貲�普通科、金子Aだ。もうマフィアの諜報員ではない。
慣れない肩書きを頭に叩き込んだ。
(怪しまれないようにしないと……いずれ、ボロが出てしまうかも知れない)
マフィアでの仕事は、一度しくじれば生命の終わり。生きて帰れても結局首領に殺される。そんな実力社会の末端で、Aは“殺し屋”という役を演じていた。
それをやめて“殺し合う”日常から解放された今。しかしもしかすると今も──否、今だってマフィアに染まったままだ。
でもあの時から、人生の色が変わった。織田の『人を救う側になれ』という言葉を聞いた瞬間に。
それから善良な市民を演じている少しの間、世の中で言う
……とても、羨ましかった。
別に、マフィア時代が全て忘れ去りたい過去だったわけではない。むしろ充実していたとも言えるだろう。
しかし自分は我儘だった。素直に笑い合う家族。友達。見ているとどうしても溢れてくる感情がある。
自分もあの子たちのように、両親に愛して欲しかった。
たくさんの友達が欲しかった。
何も考えずに、夜を過ごして見たかった。
自分の手が汚れているなんて考えずに、いつでも、どんな時でも笑えるような人になりたかったと。
今はその気持ちを抑えるのに必死だった。自分は“異常”で、彼らは“普通”だった。
Aにはどうしても普通の子供が、どこか異星人のようにも感じてしまう。
それ程に眩しすぎた。何故、あんなに明るく笑えるのか。そんな答えを持ち合わせていない自分がちっぽけに見えた。
(……だから、私は皆と同じ様に普通には成れない)
何故か笑いが込み上げてきた。それを必死に堪える。
(どうか、してしまった)
もうこの気持ちは封印しよう。自分が壊れ始めているのが露見しそうで恐ろしい。
(恐ろしい、なんて、私が言えたものじゃないが……私も、随分弱くなったな)
Aは、このどうしようもない、行き場もない感情を心の底に押しとどめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 481人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ヒロアカ」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
92Uranium(プロフ) - 流暢じゃなくて悠長だと思うんですが勘違いでしたらすみません (2023年2月24日 16時) (
レス) @page48 id: 30affeabb2 (このIDを非表示/違反報告)
瑞樹(プロフ) - 誠に申し訳ございませんが、検索よけのため、引っかかるキーワードが含まれているコメントは削除させて頂きます。ご理解お願い致します。 (2023年1月18日 22時) (レス) id: 554508b1f5 (このIDを非表示/違反報告)
ﾃﾝﾌﾟﾗさん(プロフ) - No.19の量量は要領でしょうか？ (2023年1月16日 16時) (レス) @page22 id: ac3994717f (このIDを非表示/違反報告)
s(プロフ) - あやうる…？あらゆるですかね (2022年10月10日 3時) (レス) @page37 id: 24c6dcc0b6 (このIDを非表示/違反報告)
ペネロッペ(プロフ) - 学校のiPad……お揃いですね！私は携帯が使いにくくて学校のiPadを…授業中に…… (2022年10月7日 12時) (レス) id: 4e7520e5da (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑞樹 | 作成日時：2022年9月20日 21時
