愛もクソです。【七海建人】

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「……ねぇA。お願いだから落ち着いて聞いて欲しいんだけど、」









＿＿＿＿＿＿七海が、。









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携帯の向こう側、五条先輩の微かに震える声。

私は何も言うことが出来ずに、ただ呆然と先輩の声を聞いていた。







建人さんが、帰ってこない。

おかえりなさいって、言えない。








(＿＿＿＿＿あれ、息って、どうやってするんだっけ？)








遠くで五条先輩の声が聞こえる。

それなのに、何と言っているのか理解できない。






おかしいな、私。

……どうなってしまったんだろう。






優しいあの人がいなくなるなんて。

そんなの絶対に間違ってる。






世界のために、人のためになんて生きなくていい。

自分のために生きていい。








だって彼は、

＿＿＿＿＿あんまりにも、優しい。








不器用かもしれない。

伝わり辛いかもしれない。

誰にも気付いてもらえないかもしれない。








それでも、彼は何も言わない。








自分が優しくて、温かい人だときっと彼は気付いていないから。









「＿＿＿＿＿、け、とさ」









こんな温もりだけを遺していくなんて、

＿＿＿＿＿＿狡いよ。









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