愛もクソです。【七海建人】

. ページ6

.







＿＿＿＿今日は建人さんの帰りが遅い。

仕事柄、よくある事だ。





だけどやっぱり不安になる。

もしも、万が一が起きてしまっていたらどうよう。

彼が帰ってこなかったら、私は。







任務でツギハギの呪霊を追っていると聞いていた。

貴方にも当然見えるでしょうから、充分に注意してください、と。








(＿＿＿＿＿お願いだから、無事でいて)








ただ祈ることしかできない自分がもどかしい。

時間だけが過ぎていって、彼がいれば眠くなるはずの体はいつまでも休もうとしない。

どうしたものかと内容も入ってこないテレビを見る。

すると少しして、小さくドアの開く音が聞こえてきて。









「……建人さんっ、おかえりなさい、」

「……、起きていたのですか」

「だって、」

「…すみません、遅くなってしまって」









すぐに気付いた。

お腹の辺りに、赤いシミができていること。





きっと家入さんに治してもらったのだろうから、私が心配することはないのだと思う。

しかし、彼が怪我をしたということは、それなりに相手が強いということだ。





ふい、と逃げるようにそのシミから目を逸らすと、彼は少しだけ困ったように眉を下げていた。









.

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す