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「あれ!もしかしてA!?」
「わー!五条先輩…!」
「久しぶりじゃーん!元気にしてた?」
「おかげさまで元気です」
「七海とよろしくやってる?」
「五条先輩は相変わらずそうで…」
遠くから私を見つけると、すぐに飛んできた五条先輩。
あの頃は荒れていたのに、途中で辞めた私のことを覚えていた辺り、彼はとても優しいのだと思う。
「はぁー、Aが人妻かぁ〜!」
「先生…、」
いや、頭はおかしいか。
テンションが上がりきっている彼と、呆れている伏黒くん。
早く建人さんの所へ行かなきゃと辺りを見渡すと、小さなため息が1つ聞こえて。
ぐい、と手を引かれると、そのままぽすんとその胸に抱き止められた。
「……五条さん、彼女は私の妻です」
「七海!分かってるよ〜」
「距離が近く見えたものですから」
「ごめんごめん!そんな怒んないでよ」
「怒ってません」
「怒ってる!」
また、ため息を1つ。
私は慌てて姿勢を正すと、珍しい出来事に胸が高鳴っていた。
(……私の妻、か)
思わず、笑みが溢れる。
「ところで、こんな所まで一体どうしたんですか」
「あ、そう!お弁当、忘れていったので…」
「…あぁ、」
「お腹が空いては仕事に集中できないでしょう?」
ふふん、と得意げに笑うと、彼は眼鏡を直して。
「別にコンビニで買えば済む話です」
「建人さんパンしか食べないでしょう、」
「……そうですね。確かに貴方の弁当を食べると元気が出ます」
「えっ、」
「ありがとうございます」
ふわ、と私の髪に触れる。
(なに、なんか建人さんいつもより…)
「ちょっとぉー、ここ学校だよ、お二人さん」
「ナナミンがデレてる…」
「珍しいモン見た」
周囲の空気にハッと我に返って、私は弁当を渡す。
彼は大して動揺している様子もない。
「じゃっ、じゃあまた。午後も頑張ってくださいね、ナナミン」
「……虎杖くん、妻に変なこと吹き込まないでください」
「え、いいじゃんナナミン」
「良いわけ無いでしょう」
またねー!と言う五条先輩に、ひらりと手を振る。
伏黒くんもぺこりと頭を下げてくれた。
(いい職場みたい、)
建人さんが随分とリラックスしていた。
それがなんだか嬉しくて、私は気分よく家への道を歩いた。
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conny(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました。 (2021年3月26日 2時) (レス) id: 712cd20bd6 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 如月さん» わああそんな風に言っていただけて本当に嬉しい限りです!ありがとうございます…!如月さんに読んで頂けて良かったです。素敵なコメントありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 美姫さん» 感動していただけて、また最高の形だと言っていただけるなんて、本当に描いて良かったです…!こちらこそ美姫さんにとても嬉しいお言葉を頂けて感謝の気持ちでいっぱいです!ありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - チエミさん» 素敵な作品だなんて…!私の小説で嬉し泣きして頂けるなんて、こんなに嬉しいことはありません…!チエミさん、本当にありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - もちもちさん» ナナミン推しの方にそう言っていただけると、本当に描いて良かったと思えます。もちもちさん、こちらこそ本当にありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向 | 作成日時:2021年1月23日 22時