5 ページ5
.
連載が始まって数ヶ月後。
単行本化を望む声が高まって、晴れて出版の日を迎えた。
そして今日は披露宴とちょっとした記者会見。
｢恋愛モノは初挑戦とのことですが、描こうと思った動機はなんだったのでしょうか？｣
記者たちの視線が私に集まる。
シャッターの光が眩しい。
｢タイトルにもありますように、老若男女どの方々にもただ恋したいと思ってもらえるような、気張らず飾らない恋愛ストーリーを届けたいと考えたからです。｣
｢なるほど、つまりご自身がそういった気持ちになると言いますか、恋愛観に対して変わった瞬間があったということですか？｣
｢…ある人を見た時に、きっと誰もが恋したいって思ってしまうんだろうなって感じた時です。その感情が自分の中でなんて素敵なんだろうって、そう感じたからだと思います。｣
頭の中で、出会った時の平野くんのあの美しさを思い出す。
｢ということは、実体験を元に描かれてるということですか？｣
｢はい、実体験と理想を織り交ぜて作ってます。｣
｢それってつまり、噂になっているタレントの平野紫耀さんですか？｣
｢ぜひお聞かせ下さい！｣
｢平野さんとはお付き合いされてるんですか！｣
あ、本当はこれが狙いか。
心にぽっかりと穴が空いた気持ちになってしまって。
頭も口も固まってしまった。
黙っていたら認めてしまうことになる。
分かっているのに、平野くんのために何が最善の選択なのか分からない。
｢お付き合いされてるということで間違いないということですか！｣
｢えっと、それは、お答え出来ま…｣
｢はい！そうです！！｣
私に当たっていたスポットライトがその声の持ち主に当たる。
嘘でしょ、なんでここに。
会場が一気にどよめいて、シャッター音とフラッシュで荒くれる。
｢こんにちは、平野紫耀です！この度『恋しただけ。』という作品が多くの方の元へ届いて嬉しい限りです！僕達の素敵な恋が誰かの心を動かすことが出来ればなと思っております！｣
平野くんが壇上へ来て、私の腰に手を回す。
｢ちょっと、何言って…！｣
｢2人の馴れ初めは！？｣
｢結婚の予定は！？｣
｢質疑応答は以上になります！！皆さん本日は御足労していただき大変ありがとうございました！披露宴及び記者会見は以上となります！｣
ドヤ顔で平野くんはマイクドロップして。
私の手をただ引っ張って、控え室へと誘った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 325人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
*咲七波*(プロフ) - 結衣さん» 結衣さんお久しぶりです！！遊びに来てくださってありがとうございます！涙 胸キュンお届けできて良かったです！！また遊びに来てください！！ (2020年1月10日 13時) (
レス) id: 9064239303 (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - お久しぶりです！無性にななはさんのお話が読みたくなり遊びに来ちゃいました//大人っぽさと少年っぽさを兼ね備えた彼の魅力が存分に描かれていて胸キュンが止まりません！現実で映画化しないかな、廉くん目線の番外編も読みたいな…と。また遊びに来ます！ (2019年12月30日 15時) (レス) id: d9c775d419 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：*咲七波*
| 作成日時：2019年12月14日 11時
