１６７％ ページ37
░▒▓█
サラの両手が私の目を覆って、どこを歩いてるのかもわからないまま足を動かす。
「じゃーんッ！！」
目を開けると、満天の星空を逆さにした見たいな夜景が私の瞳を埋め尽くす。
…もしも、好きな人とここにいたらって。私、そんなこと思ってしまうのは。
やっぱり性格が悪いんだ。
「A？」
サラが私を優しく呼ぶ声が、胸をつつく。
そんな風に、呼ばないで。
「ん？」
そう言って、少し斜め上を見上げると。
「好き。」
目元を優しく細めて、そんなことを言う。
ズルい。ズルいよ。
そんなことされたら、言えなくなる。
「… 酷い。分かっててやってるでしょ。」
「… さあ、なんのこと？笑」
「ほんと、ウザい。」
私がそう呟くと、私の全身がサラで包まれる。
いつからだろう、この強めの柔軟剤の匂いに馴れてしまったのは。
この香りに、安心感を覚えたのは。
もうこの匂いをこの近さで香ることはないだろうと心のどこかで思ってしまった体は、あまりにも正直で。
その背中に手を回してしまう。
それが何かのスイッチを押してしまったのか、サラの腕がどんどん締まっていく。
「苦しい！！！」
ベシッと頭を叩くと、やっと力が抜けた。
「悪ィ、笑」
その笑顔を見ていたら、傍で体温を感じていたら。
きっと私いつまでたっても言えないから。
もう、言うね。
「… 紫耀。
私、好きな人出来たよ。」
「… 遅えよ、気づくのが。」
「ッほんとだね…！」
なんで、私が泣いてるんだろう。
泣きたいのは、サラなのに。
だから、ちゃんと言う。残さず言い切る。
紫耀は私の人生で出会わなければならなかった大切な人だから。
私の言葉がどれだけサラに届いたかは分からないけれど。
少しでもいいから、2人で笑ってる思い出にしたいの。
「…オウ、俺もお前と一緒に過ごせて楽しかった。」
だけど、それは私だけなのかな。
どうして、男と女には友情が無いのかな。
「なに、それ。…ヤダ！
これが最後みたいな言い方しないでよ…！
友達でいてよ！！…紫耀は私の大切な友達だよ！！」
私、そんなに我儘かな。
░▒▓█
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1570人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
*咲七波*(プロフ) - みるくさん» コメントありがとうございます！前から見てくださっているなんて嬉しいですー！しかも勿体ないお言葉頂けて恐れ多いです…！涙 ぜひぜひ読み返してください！他の作品にもコメント待ってます！笑 (2018年12月8日 17時) (
レス) id: 3d58baab0f (このIDを非表示/違反報告)
みるく - はじめまして！前から見させてもらってます！なのにコメしなくて申し訳ないです… もう号泣しまくりですよ！もう作者様大好きになりました！！この文章力、小説書いて売った方がいいです！読み返しますし、他の作品も見たいと思います！長い駄文失礼しました！！ (2018年12月8日 11時) (レス) id: 58c3937f81 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - *咲七波*さん» なんか、見てたら知らん間に泣いてた〜。恋愛小説もたまにはいいねー (2018年11月20日 17時) (レス) id: c1ea85b2d3 (このIDを非表示/違反報告)
*咲七波*(プロフ) - らいみぃさん» コメントありがとうございます！泣いてくださったんですか！？嬉しいです… 平野くんを必死に堕とそうとする話を絶賛更新中なのでぜひそちらも！笑 (2018年11月5日 14時) (レス) id: 3d58baab0f (このIDを非表示/違反報告)
らいみぃ - このお話が大好きです！もう、泣きました。ほんと作者様ありがとうございます、お疲れ様でした。これからも別のシリーズ頑張ってください！ (2018年11月4日 22時) (レス) id: 657c2ba17c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：*咲七波*
| 作成日時：2018年10月14日 23時
