君の耳にキスを。【Yuta.K】

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困る。






困るよ。









そんな風に泣かれたら。









今日、ハンカチ廉に貸しちゃったんだって。









だから、抱きしめた。




存在を確かめるように。









今までの想いがダイレクトに、漏れることなく、

しっかり全部伝わるように抱きしめた。









感じるかな、俺の心臓の鼓動。

俺の息遣い。









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「会いたかった…」









「ゆ う た く ん 、」









「… へ？」









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聞いた瞬間、

時間が止まったみたいだった。









初めて聞いた声に、腰が抜けそうになる。









だけど、そんな俺の間抜け顔をみて、

Aちゃんは泣きながら笑ってる。









「あ い た か っ た よ」









鈴の音が鳴るみたいに、綺麗で可愛い声だ。









俺と会ってない間、一生懸命練習したんだよね。









怖かったこと、乗り越えたんだんね。









Aちゃんは、

なんて強くて、美しいんだろう。







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「俺も ずっと 会いたかった」



「ご め ん ね」









その言葉に、俺は全力で首を横に振った。









「謝らないで、」


「じゃあ、いっぱい いっぱい ありがとう。優太くん。」









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胸が苦しい。




いろんな思いが混ざり合って、意味わかんねえや。









抱きしめて、抱きしめて、

Aちゃんを絞りきっちゃうくらいに抱きしめた。









もう二度と手放したくないから。









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「優太くん、 」








「ん？」









「好き、」









ずっと、聞きたかった。









だから、俺も言いたくて。




伝えたくて。









でも、俺の声は届かないから。





どうしようか、考えて。









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そっと、君の耳にキスをした。









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