偽王子の召使い-３-

偽王子１１３ ページ33

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そう言われて、我に返って、岸の手を離したら。


全部の力が抜けて、その場にしゃがみ込んだ。






「なあ、おい。お前なんかあったろ…」







岸も、私の前にしゃがみこむ。







「何回でも失敗していいって言われたけど、失敗するのはやっぱつらいよ…」







涙が溢れて、瞬きをしたら、全部流れてしまった。








「泣きたくないのに…！本当は、こんなに弱くないのに…！」









こんな風に変な行動とって泣き始めたら、

もう中島くんが好きだって岸に言っているのも同然だ。






つくづく嫌になる。









「お前に何があったかは知らねえけど。

　…確かにそうだよなー。
　
　失敗って、失敗した後にしか失敗も悪くないかって思えないもんな。」




「岸…」





「しかも何回失敗しても、辛いのには慣れねえもんなー。
　

　でもさ、失敗って決めつけてるのは自分なんだよな。

　失敗って決めなけりゃ、それはまだ失敗にならない。

　努力してる途中になる。」








真剣な岸の顔を、まじまじと見る。

どうして岸は、人のためにこんな風に真面目になれるんだろう。




私の前では小学生みたいにバカな岸が、実際は男にも女にもモテる理由が良く分かる。



岸の彼女になる女の子は、幸せに決まってるな。なんだか、素直にそう思った。









「な、なんだよ。だーっもう！だから！失敗の数えたり気にしてる暇あったら、

　次に進めって言ってんの！泣くな！うぜえ！」









岸のデカい手が、意外にも繊細に私の涙をぬぐった。









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