偽王子１０４ ページ24
.｡☆。.
洗い物は全部機械に任せて、他の片付けもちゃちゃっと終わった。
「それじゃあ、帰ります。今日は、楽しかったです。」
「次は掃除の手伝いだな…」
手を顎に添えてる偽王子。
その言葉に、まだまだ召使いは卒業できないんだって。
またひとつ、苦笑いでため息をついた。
「あ、帰り道平気か？」
ドキンッと心臓が跳ねる。
もし、道がわからないって言ったら、付いてきてくれるのかなって。
そんなこと考えちゃうくらい、恋は私をずる賢くする。
結局は、言えないんだけど。笑
「きっと大丈夫です。いざとなったらケータイあるし。笑」
「だな。じゃ、また。」
ちょっと！さっぱりすぎないっ！？笑
「おやすみなさい。」
その言葉の返事は「バタンッ」というドアの閉まる音。
いろいろ切なくて、悲しいのに。
あなたといると何だかおかしくて、楽しくて、変な気分。
近づいたと思って手を伸ばしても、するりと抜けて遠ざかって。
遠くにいるように感じても、本当は近くにいる。
気まぐれな猫ちゃんみたい。
あの日の海の、波みたい。
偽王子のことを考えれば考えるほど、
全部の輪郭がぼやぼやして、あやふやになってく。
.
.
ぼーっといろいろなことを考えながら夜道を歩くと。
ふいにあのキスの感覚が、じわじわと蘇る。
それだけで、息苦しくなって、血が騒いで、
どうしようもなくなった。
あんなに近づいたのに、私たちの間に距離なんてなかったのに。
どうして、あなたを捕まえることはできないのだろう。
それより、どうして。
どうして…
どうして中島くんは、あんなキス…
切なくて、苦しくて、足がフラフラして。
家の前の最後の曲がり角を曲がった瞬間、
全身に強い打撃と痛みが走る。
「うわっ！！？！」
「きゃあっ！！！」
後ろから地面に倒れそうになった瞬間、
手を引かれて、その人の胸に抱きかかえられた。
.｡☆。.
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*咲七波*(プロフ) - あこさん» 一気に読んでくださったなんて…すごく嬉しいです！これからもよろしくお願いします！！ (2018年5月25日 12時) (
レス) id: 3d58baab0f (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - 読み始めたら止まらなくて一気に読み終わりました。続き楽しみにしてますね。黒崎くんを思い出しながらドキドキしてます。 (2018年5月25日 10時) (レス) id: b6d97b5401 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (2017年1月10日 18時) (レス) id: b3fcb88642 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：*咲七波*
| 作成日時：2017年1月1日 4時
