偽王子100 ページ20
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慌てて勉強道具をスクバから取り出して、机に広げる。
しばらくすると私の斜め前に偽王子がやってきて、
数学のワークを解き始めた。
部屋着に着替えていて、完全にオフ。
ていうか普段は、コンタクトだったんだ…
メガネを付けて勉強している横顔が、
やっぱり息を飲むほど綺麗だ。
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2人だけの空間が静かすぎて、
私の心臓の音が聞こえちゃうんじゃないかってことしか頭にない。
生物基礎を一生懸命勉強しようとしても、ずっと同じところを読んでる。
解こうと思っても、解けない。
まったく何も手につかないとは、まさにこのこと。
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私、今、好きな人の家で、
好きな人と、2人きりだ。
そう途中で気が付いたら、何か、手が震えてきて。
息が、荒くなって。
いつもの私じゃないみたいに、
変に体が熱い。
近寄りたい。
近くに、もっと。
触れたい、触れたい。
触りたいの。
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窓から差し込む夕日が、
偽王子のその唇を怪しく照らす。
ねえ、女と男が、こんなに狭い空間にいるのに、
君は、何も思わないの?
私が、おかしいだけ?
幼稚な、だけ?
ドキドキして、わくわくして、
ムズムズしてるのは、
わたしだけ?
中島くんは、女の子に慣れすぎていて。
私が男の子に慣れていないだけ。
それだけかもしれない。
だけどね、私は、君が好きなんだ。
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あんなにも迷っていた答えは、君の近くにいると、
こんなにも簡単に滲み出てくるんだよ。
もっと、中島くんを知りたい。
もっと、近づきたい。
もっと、好きなりたい。
彼に恋する恐怖心より、傷つくことを嫌がる保身より、
今は、君に夢中になっていて。
口から出る言葉も、違う人間みたいだ。
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「ねえ、中島くん。」
「…」
「ねえ、」
シャーペンを握ってカタカタと動いているその右手に、優しく触れてみた。
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*咲七波*(プロフ) - あこさん» 一気に読んでくださったなんて…すごく嬉しいです!これからもよろしくお願いします!! (2018年5月25日 12時) (レス) id: 3d58baab0f (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - 読み始めたら止まらなくて一気に読み終わりました。続き楽しみにしてますね。黒崎くんを思い出しながらドキドキしてます。 (2018年5月25日 10時) (レス) id: b6d97b5401 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2017年1月10日 18時) (レス) id: b3fcb88642 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*咲七波* | 作成日時:2017年1月1日 4時