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偽王子100 ページ20

.。☆。.







慌てて勉強道具をスクバから取り出して、机に広げる。





しばらくすると私の斜め前に偽王子がやってきて、

数学のワークを解き始めた。






部屋着に着替えていて、完全にオフ。





ていうか普段は、コンタクトだったんだ…



メガネを付けて勉強している横顔が、

やっぱり息を飲むほど綺麗だ。







.






2人だけの空間が静かすぎて、

私の心臓の音が聞こえちゃうんじゃないかってことしか頭にない。




生物基礎を一生懸命勉強しようとしても、ずっと同じところを読んでる。

解こうと思っても、解けない。





まったく何も手につかないとは、まさにこのこと。







.







私、今、好きな人の家で、

好きな人と、2人きりだ。






そう途中で気が付いたら、何か、手が震えてきて。



息が、荒くなって。





いつもの私じゃないみたいに、

変に体が熱い。







近寄りたい。

近くに、もっと。



触れたい、触れたい。





触りたいの。







.







窓から差し込む夕日が、

偽王子のその唇を怪しく照らす。






ねえ、女と男が、こんなに狭い空間にいるのに、

君は、何も思わないの?



私が、おかしいだけ?

幼稚な、だけ?




ドキドキして、わくわくして、

ムズムズしてるのは、



わたしだけ?









中島くんは、女の子に慣れすぎていて。

私が男の子に慣れていないだけ。




それだけかもしれない。








だけどね、私は、君が好きなんだ。







.








あんなにも迷っていた答えは、君の近くにいると、

こんなにも簡単に滲み出てくるんだよ。






もっと、中島くんを知りたい。


もっと、近づきたい。




もっと、好きなりたい。






彼に恋する恐怖心より、傷つくことを嫌がる保身より、

今は、君に夢中になっていて。




口から出る言葉も、違う人間みたいだ。








.









.








「ねえ、中島くん。」


「…」




「ねえ、」









シャーペンを握ってカタカタと動いているその右手に、優しく触れてみた。









.。☆。.

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*咲七波*(プロフ) - あこさん» 一気に読んでくださったなんて…すごく嬉しいです!これからもよろしくお願いします!! (2018年5月25日 12時) (レス) id: 3d58baab0f (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - 読み始めたら止まらなくて一気に読み終わりました。続き楽しみにしてますね。黒崎くんを思い出しながらドキドキしてます。 (2018年5月25日 10時) (レス) id: b6d97b5401 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2017年1月10日 18時) (レス) id: b3fcb88642 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*咲七波* | 作成日時:2017年1月1日 4時

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