偽王子の召使い

偽王子５ ページ5

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秘密の入り口の少し重い扉を開けて、夕方の風を全身に感じる。




スカートを揺らすやわらかい風が、気持ちいい。




扉をゆっくり閉めて、前を向くと、息を飲んだ。





「…おうじ、さま。が。」





10ｍ先にある大きな白く塗られたボックスの上に、王子様が寝ている。



頭の後ろで腕を組んで、仰向けに寝ている。



どうしたらいいんだろ？




気づかなかったことにして、帰った方がいいのかな？





でも、風邪とか、引いちゃったら、よくないよね。




1歩1歩、なぜか慎重に歩き始める私。





王子様の目の前に着くと、やっぱり王子様だった。





かっこいい。本当にかっこいい。



黒色の前髪の間から見えるキリッとした眉毛。

私なんかよりもずっと長いまつ毛と、鼻筋。

ちょっと下唇がふっくらしてて、可愛いピンク。

色白で、透明感のある肌。



人間て、こんなに綺麗に生まれてくるものなんですかね…？



いけない、どうしても見とれてしまう。


はやく、起こさないと。





「あ、あのー…」



「う…うーーん、、、」



「ねぇ、中島くん」




しゃがんで、王子の耳元に近づく。




「中島くん、風邪引いちゃうよ？」




「んん…」



組んでいた両腕の右手がいきなり動いて、彼の前髪を掻き上げる。





う、うおおお。せ、せくしー。




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