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展望台の中の螺旋階段を二人で登って、テラスへ出る。
「わあ…、」
「いいねー！」
下には町の明かりが小さく見えて、上には確かに星が見えた。
満天ではないけれど、雲が一つも無くて、欠けた月も綺麗だ。
「Aちゃんは毎日下を向いて一生懸命作品と向き合ってるから、たまには上を向くのもいいかなーって。笑」
どうして彼はこんなにも素敵な言葉を持っているのだろう。
平野くんは外見以上に内面が美しいんだと思い知らされる。
「確かに、空を見上げること少ないかも。
本当にありがとう。」
「あははっ、ちょっとした思い付きなのに。
そこまで真剣に言われると恥ずかしっ！笑」
よくキャッチコピーとかポエムで目にする文章。
花火よりも君が綺麗だ、とか。
君の瞳に流れた星を見ていた、とか。
いまいち良く分からなかった。
でも、今ならちゃんとわかる。
平野くんの瞳に反射してる月の光が、こんなにも美しいこと。
空を見上げる平野くんの横顔が一番輝いてること。
「仕事終わってすぐ、Aちゃんに会いたいって思ったから。
本当に会えてよかったなー。」
星を見ていた顔が私の方に向いた瞬間、心臓がドキっとする。
「…私も、平野くんに会いたいって思った。」
私がそう呟くと、平野くんが私をじっと見降ろすから。
何も考えられなくなって、私も平野くんの瞳を見上げた。
夜風がやけに温かくて、何だか甘い香りがして。
痺れてくる指先も、なんだが心地が良くて。
「…そんなに見られたら、恥ずかしいってば。」
「…ッ、」
ゆっくりと近づいて来る平野くんの顔に身体が動かなくなる。
これ以上見ていられなくて、ぎゅっと目を瞑った数秒後。
じんわりと温まっていく私の唇。
優しくて、柔らかい彼の唇の感触。
私の耳には自分の鼓動しか聞こえない。
全身が熱くて仕方がない。
これが、キスだ。
「…ねえ、もしかして。初めてのキスだった？」
目を開けると、至近距離で色っぽくそんなことを聞いて来る。
頭がぼーっとして見栄を張る余裕なんてさらさらない。
「うん、」
「突然でごめんね、怖くなかった？」
「…怖いわけない、嬉しかった。」
「あははっ、可愛すぎ！」
ぎゅっと私のことを抱き締めてくれる。
初めてのことが増えていく。
その度に、平野くんが好きになる。
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*咲七波*(プロフ) - Anzu1134さん» コメントありがとうございます！ゆっくりではありますが引き続き読んでくださると嬉しいです！笑 (2019年10月19日 6時) (
レス) id: 3d58baab0f (このIDを非表示/違反報告)
Anzu1134(プロフ) - 更新とても楽しみにしています！ 頑張ってください！ なるべく早めに更新してくれるとありがたいです。 (2019年9月30日 1時) (レス) id: 68bfd8b6e0 (このIDを非表示/違反報告)
*咲七波*(プロフ) - あちゅぴさん» コメントありがとうございます！これからも読んでくださると嬉しいです〜！ (2019年9月14日 11時) (レス) id: 3d58baab0f (このIDを非表示/違反報告)
あちゅぴ(プロフ) - このお話とても面白いです！！続きも楽しみにしていますね！ (2019年9月13日 18時) (レス) id: 9024cefd53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：*咲七波*
| 作成日時：2019年8月23日 10時
