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「何時まで寝てたの?」
「ちょうど一時間くらい前に起きた、」
「あははっ、良く寝たね!」
「…起きた時、平野くんいなかったから。
夢だったのかと思った。」
「夢じゃなくてよかったね?」
私が無言で頷くと、嬉しそうに平野くんが笑う。
冗談抜きで、夢じゃなくてよかった。
今平野くんと美味しいご飯を食べれていることが、また夢みたいだけど。
「次のお仕事は?」
「明日はイラストを頼まれてるクライアント様と打ち合わせがあるかな、」
「そっか!じゃあ、そろそろまた寝ないとね。笑」
「まだ全然眠くないよ、笑
だから少し作品について練ろうかなって。」
「じゃあさ、俺もそれ横で見ててもいい?邪魔はしないから!ほんと!見てるだけ!」
「…いいけど。平野くんはお仕事ないの?」
「朝からだけどギリギリまで一緒に居る!」
「…平野くんのことを思って12時には寝ます。」
「えっ、12時に帰らなきゃダメ?」
「それは…、どっちでもいい。」
「ふはっ、好き。」
母性をくすぐるそんな表情でお願い事をするのが本当に上手い。
上手く口車に乗せられていると言えばそうだけど。
拒んだところで素敵な恋はできないと思うから。
私は彼をできる限り受け入れようと思うし。
私だって、平野くんと一緒にいたいんだ。
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ご飯を食べ終わって、小さなデスクに紙とペンとパソコンを広げて。
さっきの作業の続きをする。
平野くんが目の前にいるから、なおさら作業が進む。
間接照明が反射している平野くんの丸い瞳が、私にインスピレーションとパッションをくれる。
静かな空間に、紙をひっかくペンの音が響く。
私が書き下ろしていくネームを平野くんが丁寧に触って読んでいく。
「俺ってこんなにかっこいいかな」とか「こういうのがAちゃんのタイプなのかな」とか、零れる言葉がもっと私に描き続ける力をくれる。
一人でできると思っていたことは、誰かがいればなおさら上手く行くんだって。
この年になって思い知らされる。
そんな自分に嫌気は差すけれど、気づけたことが何よりの幸いだと思えば。
あり得ないけれど、何でもできる気がして来るんだ。
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*咲七波*(プロフ) - Anzu1134さん» コメントありがとうございます!ゆっくりではありますが引き続き読んでくださると嬉しいです!笑 (2019年10月19日 6時) (レス) id: 3d58baab0f (このIDを非表示/違反報告)
Anzu1134(プロフ) - 更新とても楽しみにしています! 頑張ってください! なるべく早めに更新してくれるとありがたいです。 (2019年9月30日 1時) (レス) id: 68bfd8b6e0 (このIDを非表示/違反報告)
*咲七波*(プロフ) - あちゅぴさん» コメントありがとうございます!これからも読んでくださると嬉しいです〜! (2019年9月14日 11時) (レス) id: 3d58baab0f (このIDを非表示/違反報告)
あちゅぴ(プロフ) - このお話とても面白いです!!続きも楽しみにしていますね! (2019年9月13日 18時) (レス) id: 9024cefd53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*咲七波* | 作成日時:2019年8月23日 10時