生まれてきた理由。【Yuta.K】

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「あーあーあー、もう！！


　俺のシャツに鼻水付けんなよ。笑



　っま、Aだから特別に許してやる。

　鼻水も、勝手に昼寝したことも。笑」






「…え、放課後のことは？」





「…何のことだよ。忘れた。


　っつーか。俺のあげたお守り、勝手に捨てんなよな。」






「ぶっ！」









泣き顔に、お守りを押し付けられる。









「お前が要らねえなら、俺が貰うけど。い？」







「… え？」






「俺、ずっと好きな子がいんの。」



「…ッ」









へ… シンプルに死にたい。


は？？？？









「だけど、ずっと気持ち伝えられなくってさ。


　隠してたし。もう隠し通そうって思って。




　そいつのこと諦められるようにって。

　そいつが恋してくれればいいなーってさ。



　お守り買ってやったんだけど。」






「え…？」






「そいつが要らねえって言うから。俺がこのご利益借りるわ。




　…これで、恋愛成就すればあの神社は間違いねえな！」









ねえ、さっきっから言ってる言葉。





嘘じゃないよね。夢じゃ、ないよね。








私、ちゃんとヒロインだった？



優太のシンデレラだったの？








「…A、」









優太の大きくて、大好きな手が。




私の両頬を包んで。細長い親指が、涙を拭ってくれる。









夢で見たあの光景が、目の前で起きていることに。




何かの魔法にかけられているんじゃないかって。そう思ってしまう。









.









「俺、お前が好き。」









.









その声を。



その台詞を。



私が聞く日が来るなんて想像もしてなかった。









私が、伝える日しか想像してこなかったから。





ねえ、私もどんだけ鈍感だったのって言いたいけど。



気持ち隠すの上手すぎやしませんか。









そんなんじゃ、気づかないよ。


アホ。バカ。オタンコナス。サル。









「あ…ああ、うああああッ！！！！」






「うおあっ！？でっかい赤ちゃんだな！！笑」








優太に抱き着いて。






少女漫画みたいに、「私も好きよ！」って言いたいのに。







…






やっぱり、王道ヒロインみたいなことは…




させてもらえないのかな。









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