偽王子５３ ページ13
.｡☆。.
閉じていた目をゆっくりと開けると、
月で怪しく光る悪魔の瞳。
黒くて、澄んでいて、吸い込まれそうだ。
気づくと、どんどん心臓の音が高鳴っていって。
分かっていれど。
近くで、見れば見るほど。
悔しいくらいに、偽王子は綺麗なんだ。
「…あのときは癒されたし、だいぶすっきりした。
お前に頼んでよかったと思ってるよ。」
「…ぇぇっ」
私が間抜けな声を出すと、
偽王子は右側の口元だけを上げて微笑んで、
ゆっくりと私の耳元に近づいた。
「ありがとな…」
「っっ…！！」
少し掠れた声が私の脳内に、
濃く、濃く、響いていく。
ずるい。
ずるい、ずるい…！！！
あ、あんな態度とってたのに…！！
こっちが諦めたら言うなんて…！！！
だって、何かまた罵られるのかと思ったから。
超ド級悪魔男子には、敵わない。
ダメだ。
不意打ちすぎて。
心臓が、壊れそうなくらい動いてる。
「…満足か？」
驚きすぎて何にも声を出せなかった私は、
コクコクと縦に首を振った。
「ほんとにヘンな奴だな。さっさと歩け。
お前のせいで寝る時間がどんどん減ってんだよ。」
「は、はい！！！」
「だから声がデカいんだよ！」
「はい…」
ど、どうしよう。
嬉しさが心を満たして、自然とにやけてしまう。
それに気が付いた偽王子が、
すかさず「気色が悪いからこっちを見るな。」と命令。
そんなことも嫌に思えないくらい、私はすごく嬉しかった。
なんか、いきなり素直になった偽王子が可愛くって。
少しは、私と仲良くしてもいいって思ってくれてるのかなって。
でも、本当におかしいよね。
ついさっきまでアイツのことで怒ってたのに。
私のココロは、どうなってるのか。
バカな私には、考えたところで分かるわけもなかった。
ーーーーーーー
「あ、ここです。」
人差し指で、家の屋根を指す。
「やっとか。さっさと俺のジャージ持って来い。」
「はい。」
.｡☆。.
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○ - 49ページ18行目 血ナマコ→血まなこ だと思います (2019年10月11日 21時) (
レス) id: 3686d4536b (このIDを非表示/違反報告)
*咲七波*(プロフ) - アリサさん» またまたコメントありがとうございます！励みにすごくなります…！これからもよろしくお願いします。 (2016年8月22日 10時) (レス) id: 3d58baab0f (このIDを非表示/違反報告)
アリサ - 読みました！健人くんにも風磨くんにもめっちゃドキドキしました（≧∇≦）主人公がいなくなってふうまくんが自然と主人公を探しに走りだしたところとかすごくきゅんときました！これからも更新頑張ってください！！ (2016年8月21日 8時) (レス) id: b08e342944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：*咲七波*
| 作成日時：2016年8月19日 23時
