わしゃわしゃ、ぽかぽか。(H24) ページ41
.
「あれ、ヒナさん？」
『おー、おつかれー』
地獄のキャンプを無事乗り越えて、ホテルに戻ったらあとはもう自由時間だ。
部屋でシャワーをさっと浴びたあと、喉が乾いたなーと思い自販機まで買いに行くと、なんとまぁ偶然。
『くりも飲み物買いに来たの？』
「そうっす！」
『ふーん』
「反応うす...」と肩を落とす後輩を横目に、自販機の飲み物を選ぶ。
どれにしようかなーなんて迷いつつも、結局買うのはいつもと同じものだった。
『ほら、水でいい？』
「え、まじすか！」
『要らないならいいけど』
「いやいやいや、めっちゃほしいです！！」
ペコペコとそれを受け取るくり。
こちらの用も済んだので、じゃあまた明日ー、と踵を返そうとしたその時。
「あ、」と何かに気づいた様子の彼に、がっしりと腕を掴まれた。
『え、なに』
「ヒナさん、髪濡れてます」
『あーこれ？いつものことだから大丈夫だよー』
「ダメですって、風邪引きますよ！」
えーめんどくさいなーなんて思ってたら、あれよあれよという間にくりの部屋に強制連行。
椅子に座らされて首を傾げる俺の後ろに回ったかと思えば、棚から取り出したタオルを頭にかぶせられた。
『え、ちょ、』
「いーからいーから。どうせヒナさん、自分じゃやらないでしょ」
『....まぁ』
悔しいけど大正解である。
ここまで来たらしょうがないので、彼に任せることにした。
いつも騒がしい後輩だけど、わりと面倒見はいいんだよな...(失礼)
わしゃわしゃと髪を拭いてくれる手つきが思いのほか優しくて、心地よい感覚に目を細める。
「っていうかヒナさん、シャンプー何使ってるんですか？」
『ん？備え付けのやつだけど』
「えー、なんかめっちゃいい匂いします」
すんすん、とくりが俺の髪に顔を寄せる。
いや、流石に恥ずかしいんですけど。
『こら、やめなさい』
「はー、いい香りー...」
『俺もう部屋戻っていい？』
そう言うと「はいすいません今拭きます」とまた手を動かし始めた。
まったく、こいつは扱いやすいんだか扱いにくいんだか
よく分からん。
「かゆいところございませんか〜」
『それってシャンプーのときじゃない？』
「たしかに！」
とまぁ、結局いつも通りのくだらない会話にたどり着く。
だけど自分の髪に触れる手は穏やかで、優しくて。
(たまには、こういうのも良いかも)
なんてことを考えながら、心地良い温もりにそっと身を任せた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 316人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「プロ野球」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななみみ(プロフ) - m.さん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(泣)今後とも頑張りますので、また読んでいただけると嬉しいです✨ (2022年7月23日 17時) (
レス) id: 971830bfae (このIDを非表示/違反報告)
ななみみ(プロフ) - ゆいとさん» 遅くなってしまってすみませんでした🥲リクエストありがとうございます！申し訳ありませんが、あともうしばらくお待ちください...！ (2022年7月23日 17時) (レス) id: 971830bfae (このIDを非表示/違反報告)
m.(プロフ) - 作者さんのペースでいいので更新して楽しみにしてます〜🧸 (2022年7月22日 22時) (レス) @page47 id: 7fb43ab903 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいと - 周東くんがひなくんにでれでれする話がみたいです。 (2022年3月26日 16時) (レス) id: 49fa765743 (このIDを非表示/違反報告)
ななみみ(プロフ) - あいさん» リクエストありがとうございます！今しばらくお待ちください〜🙇♀️ (2022年3月20日 18時) (レス) id: c1526d1eed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ななみみ | 作成日時：2021年8月28日 16時
