１９３話 涙のシーン ページ18
いづみside
舞台は転換。
悪魔から魂を取り戻そうと尽力するカレン。
そして、ついにあのシーン。
沙友理ちゃんが記憶を戻したあの場所だ。
沙友理｢ユリナ、手術費が稼げた。｣
ことり｢お姉ちゃん...｣
沙友理｢だから、すぐに医者に──｣
ことり｢いいよ、お姉ちゃん。
私は、手術して治っても、きっと長くは生きられない。｣
沙友理｢そんなことないわ。｣
ことり｢ううん。
私は手術しない。｣
沙友理｢どうして...｣
ことり｢だからお姉ちゃん、最後のお願い。
私の、そばにいて──｣
再び、鼻をすする音。
だけど、今回は近い。
紬｢ぐす.....っ、うっ、泣けますね...｣
この人こんなに涙もろかったっけ？
...そうか、大切な人の舞台だから。
沙友理ちゃん、ことりちゃん、二人の愛はちゃんとここに響いてる。
楓華｢え...｣
沙友理｢...ユリナが、そう言った。｣
ユリナが手術をしないことをリンに伝えたカレン。
楓華｢じゃあカレンが手術費を稼ぐためにデビューしたのは...｣
沙友理｢.....意味なかった。
そもそも、私はユリナに手術を無理強いして.....っ｣
楓華｢カレン。
.......私、死ぬのは怖い。
だけど、人生が底に落ちるのは怖くない。｣
沙友理｢なに、言ってるの...
リンじゃいやよ。
私がすべてを始末しないと...｣
楓華｢なら二人で底に落ちるの。
輝く世界の隅っこでも、二人で幸せに暮せるわ。｣
それが意味するのは。
人気女優の地位を捨ててでもカレンの命を取り返そうとするリンの心だった。
つまり、自分の地位をカレンの魂と交換するのだ。
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作者名：エリー | 作成日時：2018年5月31日 5時
