29 - cruel ページ2
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『ッ…宜しく…御願い、申し上げます』
震える声で、そう答えた。
無事、伝わっている事を願い…祈りたい。
「…ん、……嗚呼、宜しく、な…」
伝わって、……聴こえていないのかと思った。
思ったから、つい癖…みたいなものを発症させてしまい、
其の人を見詰め出す…と云う異様な空間が出来上がっていく。
「ッ…、そ、それより…よォ、」
何故か片言。
更に視線が忙しくなったと胸中で感じ取り乍も、
続きを聞こう。
と、耳を傾ける。
傾ける。と云ったが、物理的に不可能であった。
「…な、中原さ……」
そう、今の現状を説明、整理して見る。
1、彼の人の話で頭が混乱。息がしにくくなる。→身体も強張る。
2、そんな状態の中、中原さんが謝罪。
3、謝罪した後、気遣って?かは判らないが、
「落ち着け」と諭された後、二度に渡る抱き締め(と額合わせ)をされる。
4、知らぬ間に赤面していた中原さんから、提案をされ、承諾する。
5、承諾したは善いが、抱き締められた儘←現在此の位置
……私の身を按じてくれているのが善く判る。
…判るのだが。
「ッ…、な…中原、さ……ん…」
流石にいけない。と内心吃驚し乍も、震える声を制し、声を掛ける。
「……なァ、」
先刻と同じ様な、間の取り方。
「なっ…何、ですか…?」
つい、私まで変な緊張感が背中…脊髄まで、伝い片言…にはならなかったが、独特の喋り方をしてしまう。
「……もう、少しだけ、」
───此の侭で居させてくれねぇか
「…え、っ」
迷う。
別に厭だとか云う訳では無い。
では、何に対して迷っているのか。
それは…______、
「……無理遣り、とは云わねぇ。
先刻も云ったが。
…唯、俺がそう、して欲しいだけ、だからよ……」
その言葉を聴いた途端、感じた。
"嗚呼、何て淋しがり屋な人なのだろうか"_____と。
…似ている。と思った。
思ったから、
感じた、からこそ。
私は、____。
「ッ…判り、ました。
中原さんが、良いと仰有る、のなら
良い…です…」
と、震える声で、云い。
其の人──中原中也さんの頭に手を翳し出すのだった…_____。
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(温もりが恋しいと、
思ふのは、
幼き日の自身が、
____だからである。)
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【或る男の独白】
…誰でも良いから、状況を覆してくれ。
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七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - 曇天に笑うさん» 申し訳御座いません。(そう云って貰えて本望です。ですが過去篇が終了次第、再開するので待って居て下さると幸いです。感想有り難う御座いました) (2019年8月13日 16時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
曇天に笑う - せっかく更新するのを楽しみにしてたのですが (2019年8月13日 16時) (レス) id: 96967fede0 (このIDを非表示/違反報告)
七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - 華恋さん» 感想、有り難う御座います(そう云って頂けて本望で御座います。此れからも楽しんで頂ける様、精進致します。更新遅いですが如何かお付き合い頂けると幸いです。) (2019年8月7日 0時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - えっと、、、控えめに言ってマジで好みです・・!!更新頑張ってください!無理はなさらずに! (2019年8月6日 23時) (レス) id: 8414810f45 (このIDを非表示/違反報告)
七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - Aster.さん» 大丈夫ですよ(いえいえ。此方こそ遅れてしまって申し訳有りません。悔しい…だ何て…。嬉しいです。優しい気遣い、有り難う御座います。本当に。私のペースで頑張りますね。…狙って遣って下さいませ〜。待ってますので) (2019年8月3日 20時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七海@返事・更新滞ります | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nanamikinn1/
作成日時:2019年7月31日 10時