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言われてみれば、と動きを止めた青年に
魔女は小さな石を見せました





「これは“千里の石”と呼ばれる
いにしえの魔法を秘めた石ですじゃ。」


「千里の…って?」





鳶色(とびいろ)をした石を渡されて
青年はそれを目の高さまで掲げます

すると一瞬、視界が陰りました





「っ?」





慌てて目を擦ると視界は戻り
手にしていた石は消えています





「……無くなっちゃったけど?」


「ほほ…無くなったのではなく
王子の中に宿ったのですよ、その石が。」


「宿ったって…」


「試しに庭でも見てご覧なされ。
なーに、気持ちをそちらに向ければよい。」






言われるままに半信半疑で試してみると
ボンヤリ浮かんで来たのは
いつも見慣れた王宮の庭でした

暗闇に沈む中に松明がいくつか掲げられ
そこに警備の兵士が居るのが見えます





「えっ?な、なんで?
これどうなってるの??」


「仕組みは婆にもわかりませんよ。
ですがそれがあれば
世界のどこもかしこも見えまする。」





やり方は徐々に覚えなされ、と言われ
青年は頷きました





「これで鏡の中にいながらにして
ありとあらゆる国を見ることができまする。

王子の運命の乙女を
見逃すこともございませんな。」





“運命の乙女”

その言葉に
青年の胸は高鳴りました


そうだ…

僕はこれから
運命の人を探すんだ…





「王子が真に愛する乙女を見つけ
その乙女を抱き締めたいと願ったときに
この鏡は砕け散る仕組みです。」


「うん、わかった。」





答えながら鏡の縁に触れると
不思議なことに
青年は一瞬でその中に入り込んでいました


水に潜るより容易く入れたそこは
暑くもなく寒くもなく
そして何もありません





「少し…寂しいかも…」





呟いた青年に
魔女は優しい微笑みを向けました






「なんの。
愛する乙女を見つけるためです。
我慢しなされ。」


「………そうだね。」





そして鏡は城の奥深くに隠され
王子は魔女の計らいで
不幸な事故で命を落としたこととなり…



_____長い時が流れました






小瓶の秘密 01→←02



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ぐるぐる(プロフ) - はぁぁぁ…山田くん幸せになれてよかった!大貴と一緒ならこれから先幸せに暮らせますよね??残されて王様が心配です…続きにハラハラドキドキがたまりません! (2019年10月8日 7時) (レス) id: b11125461f (このIDを非表示/違反報告)
らな(プロフ) - tomo0614qpさん» うんうんうん、ひかいのはお似合いなのです!夢と希望とロマンと萌えがたっぷり!いーよねぇ、ひかいの…ハッ!うっとりしすぎた…すいません!次もよろしくです! (2019年9月23日 8時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)
らな(プロフ) - けーままさん» へっへー、かわいいカップルですよねー♪ひかいの大好きなので、二人には速くイチャイチャしてほしいです。つぎは4章、よろしくー! (2019年9月23日 8時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)
らな(プロフ) - みるみるみるきーさん» 最近ゆといの推しのひと、多いねぇ。でもあたしはひかいのなのさっ。時代に逆らってでも推しカプを書くぞ!(笑) (2019年9月23日 8時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)
らな(プロフ) - shootingstarhapさん» 予想当たりましたかー!よかったです♪そして第4章が出来上がりましたので、お時間ある時見にきてくださいね。よろしくー! (2019年9月23日 8時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/isut/ano/  
作成日時:2016年10月15日 6時

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