03 ページ33
・
王さまの声は
悲しみと諦めに満ちていました
天国に旅立った恋人を追ったのならば
もうお妃さまを見つけ出すのは不可能です
「すまない…
俺はお前を守ってやるって約束したのに…」
後悔を滲ませる彼を
ですがすぐ側で
優しく見守る影があります
それはもちろん
お妃さまとあの青年でした
「涼介…これでよかったの…？」
狩人の残した不思議な指輪の力で
二人の姿は周囲から隠されています
声も聞こえることはありません
そんな中、呟いた青年に
お妃さまはうなずいてみせます
「いのちゃんも俺も
藪くんにはもう必要無いんだ。」
「でも…だからって…」
愛する白雪姫に続いて
妻であるお妃さままで守れなかった
その事は王さまにとって
どれだけ辛い事でしょう
その胸の痛みを思えば
お妃さまのしたことはどこか
残酷にすら感じます
ですがそれには訳がありました
「……俺はここで生きてちゃダメなんだ。」
「どうして？」
「だって生きていたら…
次のお妃さまが、辛いよ…きっと…」
「涼介…」
言われて、青年にもわかりました
たとえば王さまがお妃さまの恋を知り
青年と結ばれることを認めたとして…
それから、どうなるでしょう
王さまは新しいお妃さまを迎え
その人を大切にするでしょう
ですがそれと同じほど
元の妻であるこの女性のことも
大切にするのは目に見えています
愛では無くとも慈しみながら長く暮らし
一度は肌を重ねた女性を
他人のものになったから…と
蔑ろにできるような男ではないからです
元の妻を＿＿＿＿
しかも、他所の男のものとなった女性を
気にかけ、大切にする夫を見て
新しい妻がどう思うか
それは想像するまでもなく…
「だから俺は生きてちゃいけない…」
「うん…」
それはとりもなおさず
お妃さまがそれまでの…
王族としての人生を捨てることに
他なりません
そしてそれは青年とふたり
他には何も持たず
新たなる暮らしを受け入れる覚悟を
教えてくれるものでもありました
「涼介…
僕とふたりで、生きてくれるんだね…」
「うん…ずっと…」
手を繋いだふたりは
長く長く、嘆く王さまを見つめてから
城を去って行きました
残される人の幸せを願い
これからの生への期待と不安を抱いて…
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 710人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぐるぐる(プロフ) - はぁぁぁ…山田くん幸せになれてよかった！大貴と一緒ならこれから先幸せに暮らせますよね？？残されて王様が心配です…続きにハラハラドキドキがたまりません！ (2019年10月8日 7時) (
レス) id: b11125461f (このIDを非表示/違反報告)
らな(プロフ) - tomo0614qpさん» うんうんうん、ひかいのはお似合いなのです！夢と希望とロマンと萌えがたっぷり！いーよねぇ、ひかいの…ハッ！うっとりしすぎた…すいません！次もよろしくです！ (2019年9月23日 8時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)
らな(プロフ) - けーままさん» へっへー、かわいいカップルですよねー♪ひかいの大好きなので、二人には速くイチャイチャしてほしいです。つぎは４章、よろしくー！ (2019年9月23日 8時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)
らな(プロフ) - みるみるみるきーさん» 最近ゆといの推しのひと、多いねぇ。でもあたしはひかいのなのさっ。時代に逆らってでも推しカプを書くぞ！(笑) (2019年9月23日 8時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)
らな(プロフ) - shootingstarhapさん» 予想当たりましたかー！よかったです♪そして第４章が出来上がりましたので、お時間ある時見にきてくださいね。よろしくー！ (2019年9月23日 8時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らな
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/isut/ano/
作成日時：2016年10月15日 6時
