snow white〜第５章〜(inoo kei)

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白雪姫の言葉に
王子はじーんと胸を震わせました

だってこれは
ずっと続く未来への約束

幸せになるために
二人で手を取り合って進んでいく
今日が第一歩なんだ…！





「大好きだよ…いのちゃん…

振り返った時に
“幸せだったね”って言える人生を
俺と二人で歩んで行こうね…」




抱き寄せた身体は小さく柔らかく
その華奢な身体に宿る魂ごと愛しいと
王子は強く思いました

この愛しいひとを
俺は一生守る！





「うん。
俺もひかるも幸せになろうね。」


「約束するよ。
俺はずっとキミと…」





と、感動シーンは続いてますが…


壁の向こうでは
覗き見部隊が複雑な顔をしています



“なぁこれさ…
姫の方はぜんっぜんその…
恋愛感情ないってか…”

“うん…
たぶん仲良しのお友達ぐらいにしか
感じてないと言うか…”



それでいーのかぁ？
と、ツッコミたい二人ですが
結婚式だって終わってますし
王子は盛り上がってますし
姫にも拒絶は見られません

なので、まぁいっか、と
すっきり割りきることにしました





“こんだけ愛されてるんだ。
そのうち姫もほだされるだろ…”

“だといいね。
にしても、深窓の令嬢ってすごいねぇ…”

“ああ。疑うことを知らないってか…
あんな素直な女の子お嫁にしたら
何でもやりたいホーダイだよな…”

“俺好みに育てたい、ってやつ？
高木くん、オヤジくさいってば…”





ほけほけした会話をよそに
壁の向こうは盛り上がりまくり

や、盛り上がってるのは
王子だけなんですけどね





「いのちゃん…」




間近で見る姫の瞳は
王子の知るどんな夜よりも黒

吸い寄せられるようにまぶたに口付けて
それから指先で唇をなぞります




「ここに…キス、していいかな…」


「お口に？」


「うん…したいんだ…」


「いーよ。」





うっとり囁く王子とは対照的に
姫のお返事はあっさりしたもんです

でも承諾をもらえた事が嬉しくて
王子はゆっくりと
姫の唇に自分のそれを重ねました




「ん…」




王さまや知念とたくさんしてますが
相手違えば感覚も違います

しっとり優しく押し付けられて
ゆっくり離れていく口付けは
姫にとって悪くない…と言うより
気持ちいいものでした





「ひかる…」


「うん…好きだ…」






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