snow white〜第５章〜(inoo kei)

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とまぁ、裕翔くんの草の根活動と
高木くんの裏工作は
非常に順調に進んでいます

王子も姫を何より大切にしてますので
国民の“新しいお妃さま”に対するイメージは
とってもとっても良好でした




「ああ、お引き留めして申し訳ありません。
お食事が冷めてしまいますね。」


「いや、キミの気持ちが聞けてよかった。
これからもしっかり警備を頼むよ。」




会話のせいで湯気の薄れた朝食を見て
兵士が少し慌てたのを期に
裕翔くんはドアをノックします

中から返事はありませんが
それはいつものことなので
気にせずドアを開け、部屋へと入りました





「私と、宰相補佐。
それに王子以外の人間は通さないように。」


「もちろんでございます。」





いつもの台詞を伝えてからドアを閉め
見渡したその部屋は、実に見事な設えです

この城の中で一番広いテラス付きのここは
王子のお母上である
正妃さまがお使いになっていた部屋でした






「ひかるくーん、おはよー。」





入ってすぐのテーブルに
朝食のトレーを置いて
裕翔くんはテラスに向かいます

なぜなら王子は
天気の良い日は必ずそこにいるからです






「あ、おはよう裕翔。」





朝陽差すテラスで
姫を膝に抱きベンチに腰かけていた王子は
これまたいつものようにご挨拶






「いのちゃん、ほら。
裕翔におはよーって。」


「ふふ。
白雪姫さま、おはよう。」






目を閉じたままの姫ですが
それでもその美しさはこぼれるほど

清らかであどけなく
それでいて誰もが見とれる
そんな姫にふたりはうっとりです






「本当にかわいいねぇ…
これで笑ったらどんなにかわいいんだろ…」


「だよね…
きっとそれだけで世界が輝くよ…」






はぁ、とため息をついたふたりは
そのまましばらく
姫を見つめ続けます

ちなみに王子である光くんは
毎日毎朝、陽が昇る前からここにきて
これをずっと繰り返してます







「いのちゃんの笑顔…
いっぺんでいいから見てみたいなぁ…」


「うん…」







ふたりがまたもやため息をついたとき
非常に珍しいことに
部屋の扉がノックされました






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