snow white〜第５章〜(inoo kei)

はじめましてのごあいさつ 01 ページ16

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そんなこんなで繰り広げられてる
“王子と姫のはじめてのちゅう”を見ながら
高木くんと裕翔くんは
なるべく空気になる努力をしてます



“どーでもいーけど光くん
俺たちがいるの、忘れてそうだよな。”

“確実に忘れてるでしょ、あれは。”



一度じゃあきたらず
二度、三度、四度と
チュッチュしている光王子に
二人は呆れ顔です



“にしてもなんで
キスしただけで目覚めたんだ？
光くんって実は魔法使いなのか？”

“そんなの聞いたことないよ。”

“だよなぁ…
じゃあなんでだろ…”

“さぁ…？”




と、そらっとぼけた裕翔くんですが
実は薄々わかってます

姫は裕翔くんがモミモミした
あの刺激のせいで目覚めかけていて
王子のキスは単なる偶然
姫が起きるタイミングと重なっただけ

半分覚醒状態で
回りがガヤガヤしていれば
誰だって起きちゃいますもんね


でもそれは
裕翔くんだけのヒミツです





“にしてもかわいいなぁ、白雪姫。
あーゆー系のコにいろいろ教えるの
俺、好きなんだよなぁ…”

“いろいろって？”

“そりゃいろいろ、だよ。
俺の好みに染めたいっての？”

“高木くん…オヤジくさい…”

“ひどっ！
裕翔だって内心密かに思うだろ？”

“思ってないよ。”

“ウソつくなよ〜。
王子のお手つきじゃなきゃ
俺がぜーんぶ教えるのになぁ…”




と、ちょっぴりヤバめな会話をしてる
高木くんと裕翔くんのことを
王子はともかく
白雪姫は気にしていました

なぜかと言えば
この三人のことを何一つ知らないからです




知念のお友達…って言ってたけど…

そんで姫がここに来たわけも聞いたけど…


このひとたち、だれ？




姫の生まれた国から遠い
知らない国のひと

そんで知念のお友達


姫がわかっているのはそれだけで
なんと三人の名前すら知りません

名前も知らないひととチュッチュとか
それはそれで問題なのでは？





「あのね…えーっと…」




ほんの少しキスが途切れた隙を縫って
姫が王子に呼び掛けます




「あの…あなた。」




姫が言ったのは
一般形容詞の“あなた”です

英語で言えば“you”です


でも日本語だと
“あなた”って呼びかけって
別の意味にもなります




「あっ、あなたぁあ！？」





王子はもちろん
“あなた”を別の意味に受け取りました





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