JUMP短編集〜十人十色の恋レシピ ６〜

お昼休みに藪先生と　6/20更新 ページ7

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　時はお天気のいい昼休み。
　場所は学校の屋上。

　ダイエット中のあたしはお昼ごはんを我慢して、空きっ腹抱えてベンチでうだうだしてる。




「よぉ、A。いいところに居るじゃねぇか。」



　適度に日陰で風通しのいいそこに現れたのは歴史担当の藪先生。
　このヒトは生徒すべてを名前で(しかも呼び捨てで！)呼ぶのにそれでも嫌われない奇跡の先生だ。

　なーんか許せちゃう雰囲気なんだよね。
　不思議。



「見晴らしもいいし、昼メシにはもってこいだよな。」



　どっこいしょ、の雰囲気でベンチに腰をおろして、持ってた紙袋から焼きそばパンなんか取り出してモグモグしてる。

　うぅ…美味しそう…



「なんだよ、うらめしそうに見てるなぁ。」

「え？そ、そんなことは…」

「あるだろが。育ち盛りで弁当だけじゃ足りないのか？」

「いえあの、足りてます。大丈夫です。」



　弁当食べてません。とは言えないから誤魔化した。

　大人はたいてい、食べないダイエットなんて言えば反対するもん。



「ホントかぁ？腹減ってんなら購買いけよ？」

「大丈夫ですってば。……あっ！」



　あたしが必死に誤魔化してるのにあたしの身体はあたしを裏切った。

　先生の食べてる焼きそばパンが欲しくてたまりません！と言わんばかりにお腹がぐぅ〜って…



「や、おま…弁当食ったのに腹鳴るとかどんだけ足りてねぇんだよ…」



　クククッ、って笑われて顔から火が出そう。

　お腹を押さえてうなだれてると、目の前にメロンパンが差し出される。



「ほら、特別に分けてやるから食え。」

「いえ、本当に…」

「遠慮しないで食え。」

「遠慮じゃなくてその…」



　メロンパンの誘惑と藪先生の強引さに負けてしまいそう。

　ああなんて罪深きメロンパン。



「あの…実はダイエット中なんです…お弁当も少しにしてるので…」



　食べてない、とは言えないから少しウソも織り混ぜながらメロンパンを押し返すと、藪先生は首をかしげた。



「ダイエット？お前のどこに痩せなきゃいけないムダ肉がついてんだ？」

「えっ？いいい、いっぱいありますよぉ！お腹とか太ももとかふくらはぎとかっ！」



　自分で言ってて情けなくなる。



「美容体重どころか健康体重すらオーバーなんですよっ！痩せないと！」

「そーかぁ…？」





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