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“わーかったよ。じゃ、正直に言う。”
打ち込むと、既読は付いたが返答はない。
俺の言葉を待ってるんだろう。
“俺はテメェにしか興味がねぇ。だからキャバ嬢だろーとホステスだろーと、デレデレなんかするわけないだろっ!このアホ娘!”
思いっきり甘い台詞のつもりだったのに、これまた返事が来ない。
なんでだ?
“おい、照れてんのか?”
“嬉しかったら嬉しいって言え。”
“おーい、どうしたよ。”
“こら、そろそろ出かけっぞ。”
4つラインを送ったところであきらめた。
急用でもできてケイタイ見てねーのかもしれないし、マジにそろそろ出ないとまずい。
「やれやれ…ったく…」
スーツケースを掴んで立ち上がったら、胸ポケットでケイタイがチリチリ鳴いた。
取り出してみると、アイツからの着信だ。
「おう、どーしたよ。なんか用事か?」
玄関で靴を履きながら聞いても、通話の相手は黙ったまま。
「用事ねーなら切るぞ。ライン読んどけ。」
ここまで言って電話を切りかけて、思い止まる。
しかたねぇ、大サービスだ。
「声、聞かせろよ。」
沈黙。
「俺の名前、呼べって。」
まだ沈黙。
「……デート、中止になって悪かった。俺も会いたいんだ。ホントだぜ?」
引き続き、沈黙。
「愛してるよ、A…」
「あたしもだよ、宏太…」
やっと聞けた言葉に、胸の奥が疼いた。
ああ、今すぐ抱きてぇ。
「接待終わったら電話する。真夜中でも明け方でも。」
「うん…待ってるね…」
潤んだため息交じりの声に、やっと気づいた。
そうか、このアホ本当は…
「“明日”って言ったの気に入らなかったんだな、ごめん。」
「ん…あたしばっかり会いたいみたいで寂しかった…」
「そんなことねぇから安心しろ。」
「うん…ありがと…いってらっしゃい、宏太…」
「おう、行ってくる。」
チュッ!
電話越しにリップノーズを響かせると、向こうからも同じ音が聞こえた。
「さんきゅ、じゃな!」
胸ポケットにケイタイをしまってその上をおさえると、ほんのりあたたかい。
“仕事とあたしとどっちが大事なの?”
世間じゃ“恋人にされたくない質問ナンバーワン”らしいが、悪くねぇ。
こんな聞き方されたら、答えはひとつだ。
「Aに決まってんだろーが、バーカ!」
マジ、愛してるぞ!
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おしまい
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マリナ(プロフ) - ぶっきらぼうでも不器用でも実は彼女の事大好きな薮くんの感じがもう最高で鼻血出ます!リアルに想像できるらなさんの天才すぎる物語が大好きです! (2019年10月25日 4時) (レス) id: bbedea094b (このIDを非表示/違反報告)
Nayu(プロフ) - 初らなさんがsnow whiteな私です。ここ数日で色々ならなさんのお話にどっぷりハマってます。個人的にはMyDiamondの高木さんが尊い…です。 (2019年10月14日 1時) (レス) id: dde7df5103 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - らなさんのお話久しぶりに読んでとてもキュンキュンしました!! (2019年10月14日 0時) (レス) id: 2fc616a0db (このIDを非表示/違反報告)
らな(プロフ) - shootingstarhapさん» ありがとうございます。今回は伊野尾くんにそっくりないとこ、ってことで、普段ならしない言葉を使ったりする慧にぃを書けて楽しかったです。また次も楽しんでもらえるといいな、です。 (2019年10月14日 0時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 読みました!凄く良かったです(^^)この2人のその後の話しも是非読みたいと思いました(^-^)特にベッドドンの所がキュンとしました(^^)また楽しみにお話し待っています(^-^) (2019年10月13日 15時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/isut/ano/
作成日時:2019年6月18日 19時