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ー side 藪 ー
泣きじゃくる知念を抱きしめたまま、俺は最高の気分を味わっていた。
舞台に、物語に感動して泣くやつはいるだろう。
でも、そこで生きてる登場人物の未来まで思い描いて涙を流すやつはそうはいないはずだ。
「こーたぁ…えぐっ…うぅ、ヒクッ…」
この涙は、俺が演じたハル＿＿＿＿＿まぁ、多分に俺そのものを思って、って感じだけど＿＿＿＿＿あの、弱くて情けない少年のことを、本気で思いやって流してくれた涙だ。
わずか二時間半の舞台でしか存在しない幻の少年は、だけど知念の中で生きている。
「なぁ、知念…お前が“真由”なら、なんて言う？」
「え…？」
びしょ濡れになった頬に手を添えて、溢れる滴を親指で拭った。
「あの“真由”は、俺に……と言うかハルに、ちゃんと生きろと言った。」
前を向け。
自分の足で、進んで行けと。
繋いだ命を無駄にするなと。
「僕なら…移植のこと、言わない…」
「どうしても言わなきゃならないとしたら…？」
「そしたら好きだなんて言わない…」
「でも、好きなんだろ…？」
彼女の人生はもう終わってた。
そしておそらくあれは、彼女にとって初めてで最後の恋だ。
なら、伝えたくて当然のはず。
「僕なら……心臓、大事にしてね、って言う…」
「大事に？」
「うん…自分のものになったからって“苦しい”ばっかり感じちゃダメだよ…って…」
「自分のものに…そうか…」
喜び溢れたその感情は、俺の中にいるハルのものだった。
真由の別れ際の“大好き”に、これが込められていたのだとしたら…
「ありがとな…知念…」
彼女のことを、ハルは生涯忘れないだろう。
感謝と、恋心と、そして申し訳なさと共に胸を押さえて生きていくんだと俺は思っていた。
だけど違う。
彼女は＿＿＿そして知念は、本当に俺、そしてハルを愛してくれているから、感謝も申し訳なさもいらないんだ。
純粋な愛に応えるのは、純粋な愛じゃなきゃならない。
命を、心臓を与えたのは運命でも、恋をしたのは自分なんだから。
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ぐるぐる(プロフ) - えぇっ！！らなさんのお話がupされてる！！私の大好きなひかいのちゃん。すっごく嬉しいです。緊急事態宣言は解除されたけど、まだまだ自粛しないといけない事いっぱいですよね……私もひかいのちゃんを見習って出来るだけの自粛は続けていきます！ (2020年6月8日 22時) (
レス) id: b11125461f (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - うれしぃ。ひかいの。 (2020年6月2日 19時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - らなさん、お久しぶりです。私は仕事上、働かなければならず、忙しなかったです…。久しぶりにらなさんの新しいお話しを読みました。いつも癒しをありがとうございます。改めて気を引き締めてこの事態を乗り越えようと思いました。らなさんもお気を付けてくださいね。 (2020年6月2日 17時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
ぐるぐる(プロフ) - やぶさん……とんでもなくド変態(笑)汗が好物なんて……良い！(笑)相変わらず激かわな知念ちゃん(o´艸`)幸せな休日になれたかな〜^^？ (2019年9月13日 23時) (レス) id: b11125461f (このIDを非表示/違反報告)
らな(プロフ) - みるみるみるきーさん» おお、そんなに喜んでもらえるとなにやらテレるな(笑)再録面倒だと思ってたけど、みるちゃんのためにも頑張るね♪ (2019年8月17日 23時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らな
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/isut/ano/
作成日時：2019年3月30日 16時
