JUMP徒然短編集〜BL version〜

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「ふわぁ…あったかぁい…」


　部屋に行ってエアコンつけると、出てきた風をほっぺに受けて幸せそうにしてる。
　前髪揺らして目を細めてるそんな姿が可愛いってこと、伊野ちゃん自身よーく知ってるからこれもわざとだ。

　見せられて魅せられてどんどんどうにもならなくなって、なのに彼の気持ちが見えない。
　少しは好きでいてくれるの？
　それともあなたの心の中には友情しかないの？
　だったらどうしてこんな風に俺を魅了するのさ。



「あ、そーだ。」



　悩んでも答えの出ない疑問に少しだけウンザリしてソファーに座った俺に、伊野ちゃんが近づいて来た。



「初日成功おめでとう。」

「あ、ありが…とッ？」



　お礼の言葉が途中で裏がえったのは、突然おでこに柔らかいものが触れたから。
　有り体に言えばそれはキスで、そりゃ子供の頃は何度もされたけど二十歳(ハタチ)越えてから撮影の時でも滅多にしてくれなくなってたのに…



「やーだ。なんでそんなに目ぇまん丸にしてるの？」

「え、だって…」



　動揺しまくりの俺の膝の上に重みがかかる。

　ねぇちょっと待って？
　なんで俺、伊野ちゃんを抱っこしてるの？



「Twitterとか見たよ。みんな誉めてた。」

「そ、そう…」

「俺も観たかったな。そのうち行くからよろしくね。」

「うん…」



　混乱しながら、それでも膝に乗っかる伊野ちゃんのお尻が気になって仕方ない。
　柔らかい通り越してふわふわのふにふにで、これ揉んだらどのくらい気持ちいいんだろ。



「裕翔？」



　アブない思考を振り払おうと必死な俺に、どうやら彼は気づいてない。
　これもいつものおふざけなのか、それとも寒かったから人恋しいだけなのか。



「ねぇ、裕翔。さっきから上の空だよねぇ。」

「そ、そう？そんなことないけど？」

「なくないよー。カノジョが部屋に来てるってのにそーゆーの失礼だと思うなぁ。」

「カノジョって…あはは…」



　あー、確定。
　これ間違いなくいつものおふざけだ。

　“カレシ”とか“カノジョ”とか口にしてるけどホントは意味無いんだよ。
　だって伊野ちゃんは俺の気持ちを知っているだけで俺のことなんか………ってえええっ！？




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